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ひと振りで試合を決める男・エルドレッドの「カープ愛、日本愛」

webスポルティーバ 9月15日(木)14時50分配信

 歓喜の胴上げのなか、大きな腕が緒方孝市監督を包んだ。広島を愛し、日本で成長を遂げたブラッド・エルドレッドも25年ぶりの優勝に大きく貢献したひとりだ。

【写真】25年ぶり7度目の優勝を果たした広島カープ

 上位、下位関係なくどこからでも点を取れる今季の広島打線は「ビッグレッドマシンガン」と呼ばれ、9月13日現在、得点、打率、本塁打すべてでリーグトップを誇るなど、相手チームの脅威となった。

 なかでも196センチ122キロの巨漢・エルドレッドは、ひと振りで試合の流れを変え、何度もチームに勝利をもたらした。ここまでチームトップの本塁打数は鈴木誠也だが、エルドレッドが相手に与える威圧感は特別だ。

 今季はただ振り回すだけのバッティングではなく、チームのコンセプトだった“つなぎの野球”にも対応できることを証明してみせた。これまでの4番ではなく、5番や6番で起用されることが増え、新加入した同僚ルナからの影響も少なくない。

 対戦相手の執拗なマークも、前半戦はものともしなかった。チームの方針に合わせることで、簡単に打ち取られる打席は極端に減り、逆方向に打ち返すなど、30代半ばにして打撃の幅が広がった。

 6月に右太ももの裏を痛めて離脱するまで、長打だけなくヒットを量産し、本塁打と安打数でチーム二冠だった。

「いいスイングができている。投手がどう攻めてくるのか、理解しながら打席に入れている」

 日本人投手のデータ、配球パターンはしっかりと頭のなかにある。

 エルドレッドはアメリカでの実績はほとんどない。だが、2012年のシーズン途中に日本にやって来て、才能を一気に開花させた。14年には本塁打王のタイトルを獲得。今季はルナとプライディが新加入し、開幕一軍は難しい状況だったが、オープン戦で打ちまくり、実力でレギュラーの座を奪い取った。

 広島の外国人選手として、ライトル、ギャレットに次ぐ史上3人目となる通算100本塁打も目前で、間違いなく最強助っ人のひとりに挙げられる選手だ。

 今季で来日5年目。すっかり日本に慣れ親しみ、チームメイトはエルドレッドについて「日本人のようだ」と口を揃える。守備の際の指示やチームメイトをいじるときは、いつも日本語。試合前に監督が「元気?」と声をかけると、「カラゲンキ」と答え、「よく知っているなぁ」と驚かせたこともあった。

 街のなかでは“ママチャリ”を乗りこなし、遠征先では通訳を伴わずひとりで散策に出かける。そして長女はこの春、広島の小学校に入学し、母のシンディさんも昨年8月23日の巨人戦でホームランガールを務めるなど、エルドレッド同様、家族も広島を愛している。

 また、エルドレッドは巨漢でありながら全力疾走を心がけ、広島野球の伝統でもある「次の塁を狙う走塁」が自然とできている。河田雄祐外野守備・走塁コーチも「何も言わなくてもやってくれる。もともと、そういうものを持っているのだろう。その姿勢は本当にありがたい」と語っていた。

 緒方孝市監督との付き合いも5年目となり、強い信頼関係を築いている。

「(緒方監督は)僕のことはすべて知ってくれている。いいときも、悪いときも……。そのメカニックね」

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最終更新:9月15日(木)14時50分

webスポルティーバ

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