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『青空エール』で注目! 葉山奨之、話題作起用の理由は“怒り”の演技にアリ

リアルサウンド 9/15(木) 12:03配信

 唯一無二の存在感を持つ俳優として、葉山奨之が輝きを放っている。昨晩最終回を迎えたテレビドラマ『死幣 DEATH CASH』をはじめ、公開中の『青空エール』、公開待機作の『アズミ・ハルコは行方不明』、『古都』、『きょうのキラ君』など、テレビ、映画でその姿を目にする機会が多くなってきた。そして、役の大小を関わらず、どの作品を切り取っても、“葉山奨之”の“痕跡”をいつも残している。クールな演技を披露したかと思えば、正統派イケメンにもなり、時にはコメディリリーフにもなれる。いわゆるカメレオン役者ぶりを発揮しているのだが、その中でも彼の“怒り”演技にはすさまじいものがある。

 強く印象付けられたのが、映画『十字架』の演技だ。学校内のいじめによって、自殺した兄の弟・健介という非常にハードな役を葉山は演じている。兄の遺書によって“親友”とされた小出恵介扮する主人公・ユウが、遺族に自分は親友ではなかったと告白するシーン。ここで見せる葉山の演技には鳥肌がたった。

 ユウはそれまで強いられた犠牲に対し、やり場のない思いを遺族にぶつけてしまう。しかし、それ以上の苦しみと怒りを抱えているのは遺族である。葉山扮する健介がユウに向けてそれまでの感情を爆発させる“怒り”。伏し目から見上げる視線が一直線にユウを捉え、淡々と兄の無念さを訴えかけるその姿に、落涙してしまった人も少なくないはずだ。

 ひとえに“怒っている”演技と言っても様々な演技があると思うが、葉山の“怒り”演技には、見るものを傍観者ではすませない、その場所に連れ去る磁場のようなものがある。大袈裟な身振り手振りをするわけでもなければ、声を荒げるわけでもない。彼は眼でその心理を表現する。もちろん、共演者たちが生み出す空気感や、監督の演出によるものも大きいと思うが、どの作品を見ても、葉山の眼は台詞以上に訴えかけるものがあるのだ。

 現在公開中の『青空エール』では、1年生時から吹奏楽部の選抜メンバーに入るエリートで、3年時には部長を務める水島を演じている。同期の土屋太鳳演じる小野つばさに、足を引っ張るから初心者は辞めてくれないか、と強い言葉を放ち、ここでも強烈な眼力を見せる。水島は、つばさをはじめ、顧問をバカにする教師、まとまらない吹奏楽部の部員、そして自分自身へと“怒り”を向ける。出番は決して多くないながらも、水島の“怒り”が映画の中で、確かな“重し”となり、『青空エール』の物語に奥行きを与えていた。そして、『十字架』同様に、彼の“怒り”はスクリーンを通して観客に突き刺さる力を放っていた。劇中、ほとんど笑顔を見せない水島というキャラクターが、その“怒る”演技の微妙な変化で、確かに人間的に成長していく様子を彼は見事に演じきったのだ。

 葉山は『青空エール』のインタビューで、「今までの俳優人生を振り返ってみても、すごく大きなものになったと思います。これまでにないってくらい悩んだので、色々得るものも多かったです」(引用:「青空エール」葉山奨之、土屋太鳳&竹内涼真へ抱く想い「出会って変わった」「見習わなくちゃ」 モデルプレスインタビュー)と語り、自分の不甲斐なさに役者をやめようとさえ思ったという。

 朝ドラ『まれ』に続いての共演となった土屋太鳳は「絶対に辞めないで、太鳳はショウノ君のお芝居が好きだし、本当に気持ちでお芝居してる感じは誰にも真似ができない」(引用:葉山奨之インスタグラム)と伝え、その言葉でまた役者を続ける決意ができた、と葉山は自身のインスタグラムで明かしている。
 
 水島は自分とまったく正反対の役だった、と葉山は語っているが、彼のインスタグラムや映画PR中のオフショットなどを見ると、確かに水島とはまったく別人のような朗らかな笑顔を見せている。いかに彼が芝居の中で“豹変”しているかが理解できるだろう。演技に対して真摯に向き合い、時には思いつめるほどの役への没入。フィクションでありながら、確かにそこで“生きている”と思わせるものが、葉山の演技にはある。

 『青空エール』で共演した竹内涼真が類を見ない突き抜けた爽やかさをもっているのに対し、爽やかさを持ちながら心の闇を兼ね備えた演技もできるのが、葉山奨之の強みだろう。小栗旬、加瀬亮を憧れの俳優と公言しているが、二人に勝るとも劣らない唯一無二の役者として、その存在感を高めていくはずだ。

石井達也

最終更新:9/15(木) 12:03

リアルサウンド

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