ここから本文です

危うし、小池都知事!「羽田新ルートはテロリスク大」

プレジデント 9月15日(木)6時15分配信

■飛行機が一瞬で都庁に突っ込んでくる

 いよいよ国土交通省による危険な施策が始まろうとしている。2020年東京五輪開催に向けて、羽田空港の飛行経路として開放されていなかった都心上空ルートを解禁しようというのだ。

図を拡大
五輪開催に向けた都心上空ルート

 具体的には、図のように新宿都庁(243メートル)上空付近900メートル、渋谷ヒカリエ(182メートル)上空付近600メートル、港区の東京タワー(333メートル)上空付近500メートルを通過し、羽田に着陸するルート等を追加するという考えだ。なお、これらのルートには、首相官邸や皇居の付近も含まれる。

 この件でもっとも懸念すべきは、安全保障上のリスクだ。これまでは千葉県山中や地方都市、東京湾上空のみだったものが、世界有数の人口を誇る都心上空を年4万便も飛ぶことになるのである。

 第1に、近年増加の傾向にある航空機爆破テロの危険が挙げられる。荷物に爆弾を仕掛けられたり、自爆されたりしても、これまでは山中や東京湾に墜落するだけなので無駄死にでしかなかった。しかし、都心上空で人口密集地なり、ルートである都庁や防衛省付近で墜落させれば、相当な政治的・経済的ダメージになる。また、ルート付近には、テロとの戦いを国内外で激しく続けるフランス大使館もある。テロリストにとって魅力的なルートなのだ。

 また、航空機爆破はありふれた手法であり、実行も容易だ。実際、2015年10月に起きたロシア機のエジプト上空での爆破テロ、04年の連続ロシア機爆破事件、02年の中国機放火墜落事件、06年のロンドン旅客機同時爆破テロ未遂、09年のデルタ航空機爆破テロ未遂と、枚挙に暇がない。

 第2の危険は、9.11型のようなハイジャックへの脆弱性である。これまでのルートでは、航空機が都心に向かえば明らかに着陸航路を外れることからハイジャックされたとわかり、東京湾や千葉上空であれば最悪の場合撃墜も可能だった。しかし、新航路の場合は都心がルートに含まれるため、ハイジャックされたかどうかがわかりにくい。一瞬で都庁や防衛省に突っ込むことも可能であり、地上は人口密集地であるために撃墜したところで大惨事になる。

 しかし、国土交通省の危機感は非常に薄い。住民説明会での説明や公表資料では、「新ルートでテロのリスクが上昇することはありえないし、空港での検査をしっかりするから安全だ」と豪語している。仮にそうだとしても、国土交通省管轄外の海外の空港発便の場合はどうなのか。航空機爆破はハイジャックよりも容易である。さらに、海外の搭乗時の手荷物検査に穴があることは、昨年の靖国神社爆発音事件の容疑者が、二度にわたって韓国から日本に大量の黒色火薬を持ち込めたことからも明らかだ。彼が航空機爆破を企てていれば、実行することができたのだ。

 そもそも、国土交通省の説明は嘘ばかりだ。彼らはニューヨークやロンドンの例を挙げて、首都上空を飛行するのは国際的に当たり前だと主張する。しかし、ワシントンDCのレーガン空港の飛行経路は安全なポトマック川上空経由が基本で、ダレス空港の着陸便すべて、離陸便もほとんどがワシントンを迂回している。また、ワシントンの中枢部は飛行禁止区域とされ、戦闘機や地対空ミサイルを含む何重もの防衛・監視網が布陣されており、丸裸の東京都心とは大違いなのである。

 また、09年に都心上空案が検討された際、国土交通省は「安全上の理由」により最終的に撤回した。では、今回どのような「安全上の改善」があったのだろうか。国際情勢を見れば、ISが地域外でのテロ活動を強化し、アルカイダが勢力を盛り返し、日本人も多数犠牲になっているなど、むしろ悪化しつつあると言えるだろう。

 解禁の目途としている東京五輪では、世界中の観光客が都内に集中する。世界の関心度を考えても格好のターゲットだろう。なぜ、そんな時期に開放するのか。これではテロ誘致活動でしかない。都心上空案は再考なり延期が妥当ではないだろうか。

一般社団法人ガバナンスアーキテクト機構研究員 部谷直亮=文 大橋昭一=図版作成

最終更新:9月15日(木)6時15分

プレジデント

記事提供社からのご案内(外部サイト)

プレジデント

プレジデント社

2016年10.17号
9月26日発売

定価690円(税込み)

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

地球外生命を宿しているかもしれない1つの惑星と3つの衛星
地球外にも生命はいるのでしょうか?NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星科学部門の部門長であるジェームズ・グリーンと一緒に、地球外生命を宿していそうな場所を太陽系内の中で探してみましょう。 [new]