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TOSHIーLOWが語る人生観と音楽観:「生きていくための賛歌だと思ってる」

ローリングストーン日本版 9/15(木) 12:30配信

夏の終わりの東京・池上本門寺。昨年で結成20周年を迎え、ますます驀進を続けるメロディック・ハードコア・バンドBRAHMANのフロントマン、TOSHI-LOWが、アコースティック・バンドOVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND(以下、OAU)を率いて、野外イベントSlow LIVE に登場した。

BRAHMAN、TOSHI-LOWが20年を振り返る:ただ俺らは「バンド」になりたかった

BRAHMANのTOSHI-LOWしか知らない人は、OAUが奏でるアコースティック・メロディや美しいハーモニーに驚くかもしれない。TOSHI-LOW自身、2005年にバンドを始めたときは「どうなるかわからなかった」と言う。そしてTOSHI-LOWは、音楽をやる以前に"生きている"ことが大事だと繰り返した。

—今年は、Slow LIVE に初出演した2011年以来の出演となりますね。

もう一回やってみたいなと思ってたんだよね。Slow Liveって年上の人が多くて会場には椅子もある。そういう場所を盛り上げるって今までやったことないことだったから、すごく難しくてね。ま、要は前回ダメだったんですよ。今ならもうちょっとできるかなと思ったけど、今日は意識し過ぎてダメでしたね。

—ダメというのは?

まず、お客さんが椅子に座ってる時点でダメだよね。Charが大好きな年配のお客さんたちが、Charが出てきた瞬間にうわーって立ち上がっている姿を見ると、俺たちのライヴでワーって盛り上がってモッシュとかダイブしてるやつらと熱量は一緒なんだなって。やっぱり、そこにはそこでグッとくることやりたいよね。OAUならできると思う。今日はイメージし過ぎてダメだったから、もう一回だね。三回目で結果出す。

—自分たちのパフォーマンスというよりは、オーディエンスの反応なんですね。

だって自分たちが楽しくても、見てる人たちが"なんだこいつら?"って思ったらダメでしょ。もちろん、自分たちのスタイルとかカタルシスを押し通す部分もあるよ。Charを待ってる人たちってわかってるけど、その人たちに通じる何かが自分たちにもあるはず。それは池上本門寺でやってる理由でもあると思うし。

宗教でも場所でも何でもそうだけど、全部を気にしてこだわりだしたら何もやれないでしょ。今日も自分の鯉口(シャツ)着てきたけど、背中に"般若波羅蜜多"って入ってる。でもよく考えたら、ここは南妙法蓮華経だなって(笑)。でも、元は一緒なんだよね。仏教って別に神様を創ってるわけじゃなくて、みんな人間なわけ。だってひとりの神様が正しかったら、他の神さまと戦争になるじゃん。俺が仏教好きなのはそれぞれ解釈が違ってもいいってところ。むちゃくちゃ人生苦しくて、だから救いを求めるのがお経だもんね。

—お寺でそういうお話聞くのも面白いですね。今日のお客さんも、お寺というロケーションなのでおとなしくしなきゃって構えてしまったのでは?

でも、もともとお寺って間口が広い場所なんだよ。"廃仏毀釈"(はいぶつきしゃく)って言って、政府が明治時代に神社を残して他のお寺を焼き討ちして、寺の数を減らしたの。お寺ってさ、下の階級の人も隔たりなく救っていた場所なんだよ。今でいうボランティアみたいな感じで、お金がなくても勉強できたり、剣術とか運動の場所を提供したり、すごく社会に役立っていた。日本にはそんな寺が多かったんだよ。だけど、"お寺は力がありすぎるから"って数を減らしてしまった。神社、つまり神様を強くしたいという当時の政府の思惑やその後の富国強兵したい地ならしがあったんだろうね。

ーそう聞くと、お寺でライヴをやるって理にかなっている気もします。

そりゃそうだよ。真言宗とかなんかはもともと踊り念仏だからね。

ー TOSHI—LOWさんのお話を聞いてると、BRAHMAN(ヒンドゥー教またはインド哲学における宇宙の根本原理の意)というバンド名が、とてもしっくりきます。

本当はね、名前なんて何でもよかったんだよ。英語のカッコイイ名前でもよかったんだけどさ、何となくBRAHMANってのにしてしまって、だけど名は体を表すもので、何かつながっていくんだよね。今日はOAUだけど、人生って自分が考えもつかないところにつながっていくんだよ。だから10年後なんてわかんないし、その時のための準備しか今はできない。天竺(てんじく・インドの旧名)に呼ばれるかもしれないしさ(笑)。その時に俺らは音楽家だから、呼ばれたところでみんなが心で少しでも納得できる演奏できればいいんじゃないかって思ってる。そういうことを毎日続けてるんだよ。

だって、10年前の俺にSlow Liveをやれるイメージはなかったもん。ライヴハウスでガンガンやってた俺らが、椅子に座ったお客さんを前に何をやれるのか。昔だったら完全に蹴散らしてたよね。ってか椅子がある時点でやってないよね。「おい、コラ!」ってなるよ(笑)。

でも今は全てを受け入れてる。自分が思ってる未来なんて大したことないんだよ。自分が思ってるその先に起こることを受け入れるために、体力がないとダメだし、受け入れる感性がなければダメだと思ってる。

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最終更新:9/15(木) 12:30

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