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意外なところにあるサービスの本当の勝負プロセス

JBpress 9月15日(木)6時0分配信

 前回に続き、第1回日本サービス大賞(http://service-award.jp)・内閣総理大臣賞を受賞した「ななつ星in九州」のサービスの秘密をひも解いていきましょう(前回の記事はこちら「ななつ星の乗客はなぜ出発前から泣いてしまうのか」http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/47606)。「ななつ星in九州」は、JR九州が運営する豪華寝台列車のクルーズトレインです。

 ななつ星のお客様は、駅のホームですでに感動が生まれています。列車が出発する前から涙を流している方が大勢いるといいます。

 そのサービスの“勝負プロセス”は、旅行当日までのツアーデスクとの20~30回にも及ぶやり取りの中にあります。ななつ星のサービスを提供しているJR九州の言葉を借りると、ななつ星のサービスは出発時点で7割が完成しているということです。

 ななつ星の場合、旅の最中もさることながら、お客様と一緒になって旅を作り上げる「出発前の準備プロセス」が、極めて大切な勝負どころとなっているのです。

 このように、勝負プロセスをできるだけ前倒ししてみることも、サービスの価値を高めるヒントになるのではないでしょうか。

■ 勝負プロセスは前にも後にもある

 自社のサービスの勝負プロセスとはどこだろうか?  業界内や社内で当たり前のように思われている勝負どころは、本当に正しいのだろうか?  ぜひ、見つめ直してみてください。

 一見、本業ではなさそうなプロセスが勝負どころになっているケースは、実はたくさんあります。

 (例:その1)
 例えば企業の情報システム開発に関する提案活動は、提案書だけをいくら頑張って書いても受注を勝ち取ることはできません。それこそお客様の身内になって、どんな提案が必要かを一緒に考える必要があります。お客様の日常業務を深く理解し、様々な相談に乗ってお客様の心を掴まなければ、提案活動はうまくいきません。つまり、「提案プロセス」の前の「相談プロセス」が勝負を左右するのです。

 (例:その2)
 販売サービスは「販売がゴール」ではありません。お客様にとっては、買った時からその商品との生活が始まるわけで、まさに「買ったときがスタート」なのです。商品を購入したあとのお客様の“事前期待”にいかに寄り添えるかが、サービスビジネスの成否を決めるということです。今、様々な業界で機能や価格競争から、アフターサービス競争に勝負の土俵がシフトしています。まさに、勝負プロセスを後ろ(アフターサービス)に持ってくるパターンだといえます。

 皆さんも会社も、ぜひ自社サービスの本当の勝負プロセスはどこなのかを見つけて、サービスを磨き上げていただけたら幸いです。

■ ななつ星は「応援したくなる」サービス

 最後にもう1つ、ななつ星の素晴らしい点を紹介したいと思います。それは、ななつ星が九州の活性化に貢献しており、地域に愛され、地域の希望になっているという点です。

 ななつ星の沿線では、お願いしたわけではないのに、地域の人たちがななつ星を誇りに思い、列車に手や旗を振ったり、沿線に花を植え、イベントを開催したりと、地域一丸となってななつ星のサービスを応援しています。サービス、お客様、地域、それぞれが一体となって、優れたサービスを共創している点も、ななつ星の素晴らしいところだと思います。

 業種や地域や規模は違っても、サービスの本質は同じです。日本らしい優れたサービスのポイントをひも解くことで、サービスにますます磨きをかけるきっかけになればと思います。

松井 拓己

最終更新:9月15日(木)6時0分

JBpress

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