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北朝鮮の核は実戦配備レベル、有効な対抗手段はあるか

ダイヤモンド・オンライン 9月15日(木)6時0分配信

 北朝鮮は9月9日午前9時30分頃、咸鏡北道吉州郡豊渓里の地下核実験場で5回目の核実験を行った。それによる人工地震の規模を日本の気象庁はマグニチュード5.3(中規模の地震)としており、約100km離れた中国吉林省の国境地帯でも揺れが感じられた。

 その威力は10キロトン(爆薬1万t相当)程度と韓国国防省は見ているが、元米国家安全保障会議アジア上級部長のM・グリーン氏は「20キロトンに及ぶ」と述べている。

 核爆発を起こすには今日の技術でウラン13kg、プルトニウムなら4kg以上が必要で、その量の核物質を使えば自ずと広島型の威力13キロトン、長崎型の23キロトン程度になる。

 ところが北朝鮮は2006年10月9日の第1回核実験の前に中国に対し「威力4キロトンで実験する」と通知していた。これは核物質全体に連鎖反応が及ぶ前に一部を吹き飛ばし、威力を小さくする「威力制御」の技術をすでに持っていたことを物語る。ただ初回だけに制御が効きすぎたのか、威力は1キロトン以下だったようだ。

 北朝鮮はその後3回の核実験でも制御を効かして、4キロトンないし6キロトン程度(米、韓国の推定)の威力で行ってきた。だが今回は10キロトンないし20キロトンの威力であったことは、核兵器開発の実験用に威力を抑えた核爆発ではなく、威力制御をしない実戦用の核弾頭を試験した、と考えられる。

 北朝鮮核兵器研究所は声明で「弾道ロケットに装着できるよう標準化、規格された核弾頭の性能や威力などを最終的に確認した」と発表した。試作品の段階を終え、連続生産される制式兵器として採用するテストだから、威力も最大で行ったのだろう。

● 米国も認めざるを得なくなった 北朝鮮の核の小型化技術

 米国防総省の報道官は9日、北朝鮮が上記の声明で「小型化、軽量化された核弾頭を必要なだけ生産できるようになった」としたことについて「小型化は特に獲得が難しい能力ではなく、言葉通りに真実だとみる必要がある」と述べた。これは大きな変化だ。

 米国は北朝鮮の第1回核実験以来「核の小型化には高度な技術が必要で、北朝鮮はミサイルに搭載できるような核の小型化はできていないだろう」との判断を表向きには示し続けた。もし北朝鮮が実用になる核兵器を完成させたことを米国が認めれば、日本、韓国などが核不拡散条約(NPT)の第10条に「異常な事態が自国の至高の利益を危うくしている場合」には脱退できる、と定めているのを使ってNPTを脱退し、核武装に向かうことを警戒したためだ。

 米国は口径155ミリ榴弾砲用の核砲弾(58kg)を造るほど、核兵器のミニチュア化に成功していて、これには「高度の技術」がいるだろう。だが弾道ミサイル、例えば「ノドン」なら直径約1m、重量1t以下の弾頭を積めるから、その程度なら難しくないし、小型化技術は米国の公刊の本にも出ている。米国では1950年に空軍が戦闘機用の核爆弾を求めると、52年に重量740kg、直径77cmで翼の下に付けられる「MK7」原爆が配備された。インドも1988年に弾道ミサイル「プリトビ」を作ったのに合わせ、最初からそれに積む核弾頭を作っていた。

 米国防総省の報道官が、ついに北朝鮮の弾道ミサイル用核弾頭保有を肯定したのはもはや否定し続けられない状況になったこと、また韓国にミサイル防衛用の「サード」ミサイルを配備しようとしているため、と考えられる。

 北朝鮮はこの第5回核実験の4日前、9月5日午後0時13分頃、平壌の南約40kmの黄海北道黄州付近から弾道ミサイル3発をほぼ同時に発射、翌日その映像を公表した。韓国は当初このミサイルを「ノドン」と発表したが、映像では8輪の自走発射機から発射されており、「ノドン」はパレードでは10輪の自走発射機に載せているから、それよりやや小型の「スカッドER」(射程延伸型)ではないか、と考えられる。

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最終更新:9月15日(木)6時0分

ダイヤモンド・オンライン

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