ここから本文です

相手を惹きつける話法ができる人はここが違う! 相手の「モチベーションエリア」を見極めるべし

HARBOR BUSINESS Online 9月15日(木)16時20分配信

「お客さま第一」「顧客ニーズをふまえた販売」「カスタマーオリエンテッド」……お客さまを尊重して、お客さまのニーズに応じた商品やサービスの提供をすることをうたっている企業は多い。

⇒【資料】モチベーションエリア別セールス話法

 しかし実態は、それとはかけ離れた、中には真逆の方法でセールスしている会社が後を絶たない。いわゆる押し売りと、変わらないことをしている会社が、多いのだ。「いまどき、押し売り?」と思われた読者もいるに違いない。実は、押し売りと同じことが、依然、行われているのだ。

 新商品発売に合わせて、「新商品が発売になりました」「画期的な商品です」「日本初です」「業界初です」……とパンフレットに書かれていたり、セールスパーソンが紹介したりするケースは多い。新発売からしばらくすると、「シェアNo.1」「売れ筋です」「多くのお客さまにご購入いただいています」……いかに多くの人に売られているかが紹介される。

 営業担当者が個別の顧客に相対して販売する商品やサービスでは、営業担当者が、パンフレットに書かれていることを一生懸命強調する。「新商品です」「多くのお客さまにご加入いただきました」……このように言われて購入したいと思う顧客がどれだけいるだろうか。

◆「新商品」が効く割合は2割

 人にはそれぞれ、モチベーションが上がりやすい領域がある。私はそれをモチベーションエリアと呼んでいる。「目標達成」、「自律裁量」、「地位権限」ということにモチベーションが影響を受けやすい人を「牽引志向」が強い人と名付けている。一方、「他者協力」、「安定保障」、「公私調和」にやる気が左右されやすい人を「調和志向」と称している。良し悪しではなく、モチベーションに影響を与えやすい要素に過ぎない。

 私が展開している分解スキル・反復演習に参加したビ営業担当者の事例をふまえると、あくまで経験的な観察結果だが、このモチベーションエリアは、顧客の購買モチベーションにも共通した傾向がみられる。

 すなわち、「目標達成」志向の強い人は、新商品など先進的な商品を購入することを好む。「自律裁量」志向の強い人は、自分の判断で購入するかどうか決めたいと思う。「地位権限」志向の強い人は、ブランドに影響を受けがちになる。「他者協力」志向の強い人は、販売シェアを気にする。「安定保障」志向の強い人は、ローリスク・ローリターンの商品を好む。「公私調和」志向の強い人は、バランスのとれた標準的な商品を購入しがちだ。

◆購買モチベーションに合わない話法は押し売りに過ぎない

 にもかかわらず、「新商品」であることや「売れ筋」であることを強調するパンフレットやセールストークが実に多い。年間1,500名にのぼる分解スキル・反復演習の参加者のうち、「目標達成」志向が強く新商品を好む人の割合は19%に過ぎない。「他者協力」志向が強く販売シェアを気にする人の割合は21%だ。新商品を打ち出しても、シェアを強調しても、大多数の80%の人には届かないのだ。

 もちろん、会社が一律でつくるパンフレットは、20%の顧客の興味を引けば良いという割り切りで、作成させていると思えば、それもよしということかもしれない。しかし、個々の営業担当者が、会社が作成したパンフレットどおり、連呼していたのでは、策がないとしか言いようがない。「自律裁量」志向で自分自身が決定したいと思っている顧客に、いくら新商品だと強調し続けても、「公私調和」志向で標準的な商品を望んでいる顧客に、画期的な商品だと連呼しても、押し売りと思われるのが関の山なのだ。

 会社のパンフレットや、共通の販売話法が、新商品や販売シェアにフォーカスしていようが、営業担当者が個々の顧客に相対することができる場合には、顧客のさまざまな購買モチベーションに応じたセールストークを展開すればよいことになる。

◆モチベーションエリアを知ることが成約率を高める

 以下に挙げた例は、分解スキル・反復演習で、参加者が実際に用いた話法例だ。

「営業担当者が顧客を巻き込むことができない」といった相談をよく受けるが、そうしたケースのほとんどは、顧客の購買モチベーションエリアに思いをはせることなく、頭で考えたキャッチフレーズや、全社共通の話法をうのみしているだけのケースがほとんどだ。

 周知のとおり、顧客ニーズは多様化している。一律のセールス話法を繰り返すだけの営業は、もういらない。顧客の購買モチベーションエリアを検討づけて、購買モチベーションに刺さる話法の展開が、成約率を格段に高めるのだ。

※「購買モチベーションエリアの活用」スキルは、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)のドリル30で、セルフトレーニングできます。

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第15回】

<文/山口博>

※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:9月15日(木)16時20分

HARBOR BUSINESS Online