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世界最大の輸送機アントノフAn-225が中国でライセンス生産。2019年にも1号機

HARBOR BUSINESS Online 9/15(木) 9:10配信

 世界で1機しか存在しない世界最大の大型輸送機「アントノフAn-225ムリーヤ」が中国で生産されることになった。8月30日に北京にてウクライナのアントノフ設計局公社と中国の中國航空工業集團公司(AICC)との間で契約が交わされた。

 元々、ウクライナはソ連の軍需・航空産業を担っていた。そこでは、その関連企業がおよそ2000社存在し、1万人の雇用を支えていたという。(参照:『Sputnik』)

 ソ連が崩壊し、ロシアが誕生した。一方で、独立国家となったウクライナはソ連時代と同様に上述産業の完成品や部品をロシアに供給していた。しかし、ウクライナがオレンジ革命によって西ヨーロッパへ接近を強めると、ロシアとの関係に摩擦が生じるようになった。それでも、アントノフの場合は、2013年9月にはアントノフAn-124の生産をロシアとジョイントベンチャーで生産することで合意も交わされていた。(参照:『Sputnik』)。

 しかし、両国の関係はその後さらに悪化して、遂に、ポロシェンコ大統領は2014年6月にロシアとの軍需・航空産業の協力の中断を決定した。IMFはこの協力中断によるウクライナの損失は22億ユーロ(2400億円)と推定している。(参照:『Sputnik』)

 当時、厳しい経済下にあったウクライナで、ポロシェンコ大統領がこのような大胆な決断を下した背景にはNATOからの支援協力を期待したからであった。しかし、現在に至るまでその具体的進展はまったくない。その結果、ウクライナの軍需・航空産業は売る市場を無くして衰退の一途を辿った。また、ロシアがその市場を遮断したのである。

◆売り場をなくしたウクライナに中国が接近

 このような状況の中で、中国がアントノフが生産したAn-225に関心を寄せたのであった。An-225はもともとロシアの宇宙開発計画でソ連版スペースシャトル「ブラン」の輸送を考えて生産されたものであった。宇宙開発を急ぐ中国にとって、An-225は非常に有効な輸送機だと判断したようである。しかも、戦車や大量の兵士を目的地に輸送もできる。

 ウクライナのアントノフ設計局には、スポンサー不足で70%まで出来上がっているものの未完成のまま放置されたAn-225を1機持っている。そこで、AICCはこの1機を最新システムにしてウクライナで完成させて、それを中国に送ることで合意したという。仕上げの為の費用3億ドル(300億円)はAICCが負担することになっているという。そして、中国ではアントノフから渡されたその設計図をもとにライセンス生産を開始する予定で、その1号機の完成を2019年に予定しているという。(参照:『Defensa.com』)

<文/白石和幸 photo by Aero Pixels on flickr(CC BY-SA 2.0) >

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:9/15(木) 9:10

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