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仕事がデキる人は走りながら脳を鍛えている

東洋経済オンライン 9月15日(木)6時0分配信

午前中、あるいはランチの後、パソコンの画面を見ながらぼーっとしている自分に気がつく。「仕事に集中したいのになぜ……」と疑問に思いつつも、やはり気が散る……。もし、こんな症状があるなら、あなたの脳は退化しているかもしれません。
脳が衰えてしまっては、いくら小手先のビジネススキルを学んでも意味がありません。『走れば脳は強くなる』の著者であり、脳科学の観点からヒトの運動機能を研究している関西福祉科学大学教授・理学療法士の重森健太さんが、こうした症状の原因と対策、新しい脳の鍛え方を解説します。

■普通に生活していたら脳はどんどん退化する

 普段、あなたはどんな毎日を過ごしていますか?  1日の流れを思い浮かべて、どれくらい身体を動かしているか確かめてみてください。

・通勤は電車か車
・駅構内では階段が隣にあっても、エスカレーターの長蛇の列に並ぶ
・会社ではデスクワーク中心で長時間同じ姿勢で座っている
・ランチも会社の食堂や近くの店で済ませるのでほぼ歩かない
・会議室までの移動はもちろんエレベーター
・帰りの電車の中では基本的にスマホをいじっている
・早く家に帰れても、テレビやネットサーフィンでだらだら過ごす
・週末は疲れて寝ているか、軽く買い物に行くだけ
 もし、こんな「動かない毎日」を送っているとしたら、あなたの脳は徐々に退化しはじめています。体は脳のスイッチのようなもので、体を動かせばそれだけ脳が活性化されます。逆に動かない毎日を送っていると、脳への刺激が少なくなり、衰えていってしまうのです。

 かつて私たち人類は400万年もの長きにわたって狩猟採集生活を続け、お腹がすいたら獲物を求めて遥か遠い土地まで移動するというように、圧倒的な活動量の中で脳を鍛え進化してきました。

意識的に体を動かさなければ…

 一方、現代はどうでしょうか。自分で機会をつくらない限り、走ることはおろか、歩くこともままなりません。体はどんどん衰えて、脳機能も低下していきます。また、日々目にするものといえば、パソコンやスマホ、テレビといった「画面」ばかり。これらは一見、多くの情報量に触れているように感じますが、実は狭い空間で1日中真っ白な壁を見続けていることに近い状態です。

 ずっと近くの変わり映えのないものばかり見ていると、脳に刺激が伝わらず、使わない部分がどんどん萎縮していきます。あらゆること、ものが効率化され、何をするにも便利になった現代では、普通に生活していては体も脳も衰えていく一方。意識的に体を動かさなければ、気がついたときには使い物にならない脳になってしまう可能性だってあるのです。

■最強の脳は走ってつくる

 そこでおすすめしたいのが「ランニング」。走って脳を鍛えることです。ランニングには、ダイエットや体型・体力の維持などを期待する人が多いと思いますが、その効果は身体よりもむしろ脳にこそ表れていると言っても過言ではありません。

 ランニングをすると、主に「海馬」と「前頭葉」が鍛えられます。海馬は記憶力、前頭葉は脳の司令塔として、集中力や計画力、発想力、判断力、思考力、そして感情までをも司っています。役割を会社の役職に例えるなら、前頭葉が「社長」で、海馬はその補佐役の「秘書」といったところでしょうか。

 共通するのは、どちらも仕事で高いパフォーマンスを発揮するための必須能力を司っているということ。ランニングとは、身体を鍛えると同時に記憶力や集中力、さらには発想力といった脳機能全体を高めることのできる、最強のパフォーマンスアップ・ツールなのです。

 事実、トロント大学の教授、リチャード・フロリダ氏は、クリエイティブな人や年収が高い人ほど、体を激しく動かす運動に熱心に取り組む傾向があると報告しています。どういうことかというと、18歳から34歳で高額所得者(年収750万円以上)の人たちは、スキューバダイビング、スキー、テニス、そして旅行などで体を動かす回数が、低所得者(年収300万円以下)に比べて2倍も多い傾向にあるということがわかったのです。

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最終更新:9月15日(木)6時0分

東洋経済オンライン

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