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撤退? 継続? セブン傘下「バーニーズ」の前途

東洋経済オンライン 9月15日(木)6時0分配信

 東京・六本木。国立新美術館と東京ミッドタウンの中間に位置する交差点沿いに、あの高級セレクトショップが約5年ぶりの出店を果たす。

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 バーニーズジャパンは9月16日、日本で第6号旗艦店となるバーニーズニューヨーク六本木店を開店する。5年前に福岡でオープンして以来の新店で、東京都内では新宿、銀座に続く3店目。2015年春に六本木進出を決断し、約1年半をかけて出店に至った。

■2階奥にはカフェスペース

 店内に入ると高さ9メートルの吹き抜け空間に、大理石を使用した階段や什器が目にとまる。商品構成はメンズ244、ウィメンズ108ブランドにのぼり、フォーマルな商品が多い他のバーニーズ店舗と比較すると、ファッション性に重きを置いた品ぞろえに特徴を持つ。2階奥にはカフェスペースを設けた。

 バーニーズジャパンの2016年2月期の売上高は217億円(前期比4.3%増)、本業の儲けを示す営業利益は6.7億円(同1.7%増)。6年前の2010年2月期は3.0億円の営業赤字だったが、翌2011年2月期に黒字転換して以降、少しずつではあるものの、増益基調を保っている。

 実はバーニーズジャパンはコンビニエンスストア「セブン-イレブン」や総合スーパー「イトーヨーカドー」と同じ、セブン&アイ・ホールディングスの傘下である。

 バーニーズジャパンは、1989年に伊勢丹とバーニーズニューヨークの提携によって設立され、1990年に新宿で1号店をオープンした。2006年には伊勢丹がバーニーズジャパンの株式を、東京海上キャピタルが運営するファンドと住友商事に売却。その後、2014年1月に東京海上キャピタルの投資ファンドから、2015年2月に住友商事から、セブン&アイが株式を取得し、完全子会社化した。

セブンが取得した狙いは?

 セブン&アイはバーニーズを取得した狙いについて、「バーニーズジャパンの持つ商品調達力や売り場編集力などのノウハウを活用し、商品開発力をさらに強化していきたい」「百貨店事業と早い段階でのシナジー効果が期待できる」と、2013年12月発表のリリースで記した。

 だが、現時点でその効果が出ているとは言いがたい。そごう・西武の2016年2月期の営業利益は74.1億円と前期比27.5%のマイナスとなった。会社側は今2017年2月期の営業利益を100億円と見込むが、インバウンド需要の減退や婦人服の売り上げ低迷で、第1四半期(2016年3~5月期)の営業利益は1300万円(前年同期は5.3億円)にとどまった。現状の数字を見るかぎり、バーニーズがそごう・西武の業績に寄与しているとは言いがたい。

 それどころか、2016年2月には西武春日部店を閉店。9月末にはそごう柏店と西武旭川店を、2017年2月末には西武筑波店と西武八尾店を閉める。いずれの店舗も業績不振が理由だ。

 さらに「グループを挙げて推進するEC事業『オムニチャネル』分野との連携も視野に進めていきたい」と、バーニーズ取得時のリリースで記したが、こちらについても具体的な成果は乏しい。セブン&アイのインターネット通販で、バーニーズの商品は扱っていない。

■ファンドはバーニーズ撤退を提言

 2016年3月下旬、セブン&アイの株主である米ヘッジファンドのサード・ポイントは書簡を送った。送り先はセブン&アイの全取締役。その中ではイトーヨーカ堂の早急な縮小や再編、そごう・西武やニッセンホールディングスからの投資撤退が書かれているほか、バーニーズジャパンについても同じく撤退するように提言されている。

 バーニーズジャパン自体は赤字に陥っているわけではない。が、当初想定したような百貨店とのシナジー効果が見込めない点や、収益柱であるコンビニ事業に経営資源を特化させるべきとの考えから、サード・ポイントはバーニーズジャパンの切り離しを求めたと考えられる。

 セブン&アイは10月6日に予定している2017年2月期の上期決算発表において、総合スーパーを中心に業績が低迷する事業について、構造改革案の発表を計画している。当初の思惑どおりにシナジーが発揮されていないバーニーズジャパンについてはどのような判断を下すのか。セブン&アイ経営陣にとって決断の時が迫っている。

又吉 龍吾

最終更新:9月15日(木)13時30分

東洋経済オンライン