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ロボットは人の心を潤せるか?~DMM.com 岡本康広氏

日経トレンディネット 9月15日(木)11時52分配信

2015年4月にロボット業界へ参入したDMM.com(以下、DMM)。人工知能を搭載したPalmiを筆頭に、さまざまなタイプの一般消費者向けロボットを販売し、ソフトバンクが展開するペッパーとともに大きな話題を集めている。ロボットの魅力や特性、今後の可能性について、TREND EXPO TOKYOに登壇する同社ロボット事業部の岡本康広氏に聞いた。

【関連画像】Palmiと岡本氏

●「ベンダーだけでなく、私たちもリスクを背負いました」

――ロボット事業に参入された経緯を教えてください。

岡本康広氏(以下、岡本): DMMでは、ネット通販やレンタル事業のほか、オンライン英会話、3Dプリントサービスなど、さまざまな事業を展開しています。参入当初は利益が見込めなくても、将来的にビジネスに結びつきそうな分野には、積極的にチャレンジしていくのがDMMのあり方です。

 私は以前、3Dプリントの事業を担当していましたが、2014年ごろからロボット市場の盛り上がりを感じ始めました。ソフトバンクがペッパーを発表し、ロボットに対する世間の注目度が高まっていましたからね。強い興味を持ち、ロボット事業を行うベンダーを訪問しました。数カ月の間に、合計30社くらいを回りました。

――ロボット開発の現場で、どんなことを感じましたか。

岡本: 日本のベンダーは高い開発技術を持ちながら、世の中へ広げていく意識は弱いと感じました。技術者は、いいモノはつくることができるのですが、「売ることにあまり興味がない」という方が多いんですよ。DMMは、その反対で、モノはつくれないけれど「いい商品は世の中に広めていきたい」という思いはある。両者がうまく結びつけば、ロボット市場を盛り上げていけるのではないかと考えました。2014年年末に社内で企画が通り、2015年4月にロボット事業部が発足しました。

――発売するロボットは、どんなラインアップになったのでしょうか。

岡本: ベンダーを回り、5つのロボットを選びました。まずは人工知能を搭載したコミュニケーションロボット「Palmi」。Palmiは富士ソフトが開発したロボットで、高齢者福祉施設への導入ですでに6~7年の実績がありました。とても完成度の高い仕上がりでしたね。それからデアゴスティーニジャパンの「ロビ」。これは週刊「ロビ」で展開されていた組み立て式ロボットで、毎号、ロボットのパーツが雑誌に付いているわけですが、組み立て作業が苦手な人も多かった。そこで、DMMが組み立てを担当し、デアゴスティーニジャパンと提携し、完成品を販売する形になりました。

――残りの3つは?

岡本: ベンチャー企業のユカイ工学が開発したコミュニケーションロボット「BOCCO」、教育機関で採用されている「PLEN.D」。そしてハウステンボスでも採用された、キレキレのダンスをするロボット「プリメイドAI」の5つです。その後、海外のベンダーから仕入れたロボットの販売も開始しましたので、バリエーションが徐々に増えているという状況です。

――ベンダーとの提携交渉は、順調に進みましたか。

岡本: 交渉が難航し、なかなか合意に至らないケースもありました。例えば、Palmiを開発した富士ソフトさんは、67万円でロボットを販売、リースでも月3万円という価格で事業を展開していました。でも、DMMとしては10万円前後で売りたかった。そのくらいのリーズナブルさがないと、家庭への浸透は難しいと思ったからです。交渉を重ねた結果、29万8000円という価格に落ち着きました。高いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、これでも破格。性能を考えると、ギリギリの線です。

――価格交渉のほかに、苦労した点は?

岡本: 生産数についても苦心しましたね。ロボットのような新規の商品は売るのが難しい。自動車のように、市場が確立されているわけではないので、販売数を予想しにくいんです。でも、ある程度、まとまった数を出さないと認知は進まない。そこで、ベンダーに対して、ある程度の数量をDMMが買い取ることを約束し、ベンダーだけでなく、私たちもリスクを背負いました。

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最終更新:9月15日(木)11時52分

日経トレンディネット