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「最強のAI売ります」、シルバースタージャパン【TGS2016】

日経トレンディネット 9月15日(木)18時21分配信

 幕張メッセで開催されている東京ゲームショウ2016(TGS2016)のAI(人工知能)コーナーでは、シルバースタージャパンが「AIを売る」というユニークな展示をしている。

【関連画像】囲碁ソフト「銀星囲碁」シリーズを展示しているが、それ以外に「AI思考エンジン」も売っている

 同社は「銀星囲碁」シリーズをはじめとする囲碁やテーブルゲームの開発を手がけており、18年以上のAI開発のノウハウと実績を持つ。そのノウハウを詰め込んだAI思考エンジンを他社向けにも販売しているという。「他社製品で名前が出ないケースも多いが、例えば市販の囲碁ゲームなら、約4割が当社のエンジンを使っている」(シルバースタージャパンの山本成辰代表取締役)。

 同社のAI思考エンジンは、PC、Android、iOS、Webアプリなどさまざまなプラットフォームに簡単に組み込める。極端な話、同社のAIエンジンを購入し、画像(盤面やキャラクター)などのリソースを用意してちょっと手を加えるだけで、簡単に自社オリジナルの強いテーブルゲームが作れるという。

 価格は、囲碁AI思考エンジンでアマ九段相当の「ディープラーニング対応版」が1000万円~、将棋AI思考エンジンはPC版ソフトが200万円~などとなっている。エンジンを提供するだけでなく、ゲームの開発も請け負うとしている。

●AIが強くなりすぎても、開発し続ける意味はある

 せっかく商用のAIエンジンを売っている会社に取材する機会なので、AIに関する素朴な疑問を2つほどぶつけてみた。まずは、「AIが強くなりすぎて人間が勝負にならなくなり、ゲームとしての面白さが失われるのではないか」という質問。

 この質問に対しては、「確かにAIの進化により、本気でやっても勝てない人が増えているのは事実。しかし、強いエンジンができて初めて、弱い人に対して本当の意味で相手になるように実力を調整できるようになるというメリットもある。AIが先生としてユーザーの実力をどんどん引き上げてくれる。プレーヤーのすそ野を広げる意味でもまだまだ強力なAIを開発する必要がある」(山本氏)という答えが返ってきた。

 次に、「世の中にAIをうたうソフトは多いが、例えば囲碁やテーブルゲーム向けのAIエンジンの開発ノウハウは他に応用がきくのか?」という質問だ。

 この質問に対しては、「昔の囲碁や将棋ソフトのエンジンはそのゲーム向けに特化して作りこんでいた部分が多く、確かに他に応用がきかせにくい面もあった。しかし、最近はディープラーニングの仕組みなど基本的な『学習』の部分で多くのAIエンジンに共通する技術が多く使われており、幅広く他に応用できると考えている。実際に当社も他の分野向けにAIエンジンを開発して売っていくことを視野に入れている」(山本氏)とのことだ。

 山本氏によれば、米GoogleのAlphaGoが2015年10月に人間のプロ棋士にハンデなしで勝ったあたりから、問い合わせの方向性が変わってきたという。「以前は当社のエンジンを使って囲碁やテーブルゲームを作りたいという問い合わせが多かったが、最近は『他にも何か応用できないか』という問い合わせが増えている」そうだ。

(文・写真/斉藤 栄太郎=nikkei BPnet)

最終更新:9月15日(木)18時21分

日経トレンディネット