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70歳まで営業マン 部下と逆転でも働きますか

NIKKEI STYLE 9月16日(金)10時30分配信

 もしも会社から、今の仕事を70歳まで続けていいと言われたら、どうするか。もう十分働いたと60歳でリタイアするか、65歳までは働くか。あるいはせっかく声をかけてくれたので70歳まで頑張るか。選択肢は様々だが、証券会社で個人向け営業の仕事を70歳まで続ける道を選んだ男がいる。体が動くうちは、長年やってきた好きな仕事を続けたい。元気に働いて税金を払うことが、最大の社会への貢献だと思うからだ。

 大和証券神戸支店の鶴野哲司さんは66歳。個人投資家向けに株式や投資信託を販売する営業の仕事を続けている。大和の定年は60歳。希望すれば5年間、継続して勤務できる。ここまではよくある制度だが、大和は2013年、個人営業職に限って70歳まで働くことができる継続雇用制度を導入した。鶴野さんはその第1号だ。今年7月、67歳になるので、70歳まであと3年ちょっと働ける。大和では鶴野さんを含め、2人が70歳まで働く道を選んでいる。

 鶴野さんの肩書は「上席アドバイザー」だ。これは大和が個人営業の担当者を対象に設けた独自の制度で、40歳代後半から60歳代まで、転勤せずに自分の希望する支店で仕事を続けることができる。子供ができて家を購入し、ずっとこの地で子育てをしたいと考える人、親の介護のために出身地に戻った人など、生涯、今の職場で働きたいと考える社員にとって、上席アドバイザーは魅力的な制度だ。給与面などの待遇も変わらない。現在、大和では150人ほどが上席アドバイザーとして仕事をしている。このうち70歳まで働く道を選んだのは、まだ2人しかいないが、「40歳代後半から50歳代の社員が多いので、これから希望者が増えてくるのではないか」(大和証券人事部)という。

阪神大震災への思い

 鶴野さんが70歳までの職場として神戸支店を選んだのは、阪神大震災の時に同支店に勤務しており、その時の思い入れが強いためだ。支店の統括課長だった鶴野さんは、震災当日、西宮市夙川の自宅から支店のある神戸・三宮まで歩き、社員110人の安否確認に奔走した。リュックサックにタオルと水を詰め込み、自宅を訪ねて歩いた。幸い社員は全員無事だったが、当時の顧客の中には亡くなった人もいた。そこから5年、神戸の街の復興とともに、顧客も戻ってきた。震災直後の大きな苦労や悲しみ、どん底から積み重ねた小さな喜びとささやかな幸福の日々。あの5年間が忘れられず、定年後、70歳まで働くと決めた時、その舞台に迷わず神戸支店を選んだ。

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最終更新:9月16日(金)10時30分

NIKKEI STYLE

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