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所得税の基礎控除は金持ち優遇だから見直し? 乱暴な議論に呆れた税理士のつぶやき。(藤尾智之 税理士・介護福祉経営士)

シェアーズカフェ・オンライン 9月16日(金)5時0分配信

ここ最近、所得税の控除関連の見直しについて、多くのニュースが配信されています。所得税はとりわけ個人に直結する税目(税金)であるために、なかなか着手しづらいという側面があります。

選挙が近いと票が逃げるため先送りの本命です。しかし、これから当分の間は選挙の予定がなく、内閣支持率も高位安定している理由から今が見直す機会と判断されたのでしょう。

■そもそも税金の種類が多くてその上、複雑すぎる件
所得税以外に、法人税、消費税、相続税などたくさんの税金があります。例示した税金は国税といって国のお財布に入る税金です。一方で地方公共団体のお財布に入る税金として住民税、事業税、固定資産税など挙げたらきりがないくらいの種類があります。

税理士は、税理士になるために税理士試験を受験しますが、上記に挙げた税金を全て勉強するわけではなく、3つの税金だけ勉強して試験に合格すれば税理士となれます(税金の他に会計科目が2つあります)。このため、税理士といえども全ての税金に精通しているわけではありません。

その上、税金は本法と呼ばれる原則法に対して租税特別措置法と呼ばれる特別法が存在します。「本法ではOKなんだけど特別措置法でダメ」とか、「本法ではダメなんだけど特別措置法でいいよ」という例外ルールが氾濫しています。そして、ダメ押しで毎年必ず税制改正が行われます。このため、税理士試験に受かった後も引き続きキャッチアップしないと使い物にならない税理士と化してしまいます。

■やみくもに改正するのではなく、税制改正中期計画が欲しい件
今回やり玉に挙がっている所得税の控除関連の改正について、降って湧いたように金持ち優遇とか専業主婦優遇とか言われるようになりました(所得税、基礎控除見直しへ 政府税調、低所得者の負担減 2016/09/14 産経新聞)。一般の会社で制度化されている福利厚生制度のようなもので、誰もがその立場になれば恩恵に預かれますし、特に基礎控除は誰にでも等しく与えられた控除ですので、急に金持ち優遇と聞くとどこか引っかかります。

ところで、どの会社にも事業計画があるように、国も税制改正について計画というものは持てないものでしょうか。せめて中期計画で、5年ごとに変えるくらいの大きな流れがあると私たち納税者も心の準備ができます。突然に見直し協議が始まると拒絶反応の方が先に出てしまい、それこそ投票に響いてしまう気がします。

税金は社会的な問題の解決や政策誘導、業界団体のお願いなど様々な理由により新たに創設されたり、見直されたり、廃止されたりします。このこと自体は当然だと思われますし、仕方がない部分です。このような要望や改正の動きを、私たちがまったくもって知る由もないかと言うとそうでもなく、各省庁のホームページや業界団体のサイトを見ると事前に知ることができます。

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最終更新:9月16日(金)5時0分

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