ここから本文です

最強な女たちのパラダイス「女の友情と筋肉」「その娘、武蔵」〈「たくましい女」その1〉

Book Bang 9月16日(金)17時5分配信

 生まれ変わったらV6の岡田准一になりたい。格闘技によってバキバキに鍛えあげられたあの肉体が死ぬほど羨ましい。あれだけたくましいのに、彼にはジャニーズアイドルとしてのキラキラ感もある。カッコいいし、たくましいって、最強だ。来世では絶対ああいう男になる。なってみせる。……とか言いつつ、現世でたくましくなることにもちょっと興味がある。ここでいうたくましさとは、精神的なたくましさはさておき、肉体的なたくましさ。たくましい女になれた暁には、どんな人生が待ち受けているだろうか。女子マンガを読んで妄想してみたい。

 KANA『女の友情と筋肉』は、筋骨隆々の女子3人が主人公の4コママンガ。メーカー勤務の「イオリ」は、身長195cm、握力97kgの怪力女子。商社OLの「ユイ」は、身長189cm。100mを10秒8で駆け抜ける。そしてアパレル販売員の「マユ」は、身長186cmで、ソフトボール投げの記録は85m。彼女たちにつけられたキャッチフレーズは「ちょっとマッスルだけどとっても優しい女の子達」。でも、実際は「ちょっとマッスル」どころではない、超弩級の身体能力の持ち主だ。会社に遅れそうなときは「遅刻遅刻――!!!」と言いながらパンをくわえて走り出す……のではなく、空をビュンビュン飛ぶし、キャンプで火を起こしたいときはアウトドア派の殿方に頼む……のではなく、手のひらからエネルギー弾を放出する。おい、人間離れしすぎだぞ(最高)!

 はじめてこの作品を読んだとき、本当に驚いた。彼女たちの身体能力がすごすぎるから、というよりは、その特異な身体能力を除けば、ちゃんと「女の子している」からである。彼女たちはわたしたちと同じように働き、恋をし、友情を育む。残業をこなしたり、彼氏の浮気を疑ったり、女子会でパンケーキを食べたりするのだ。「実はレスリングの選手でした!」みたいな設定は、一切ない(オリンピックに出たらどうかと提案されるエピソードがあるが、誰ひとり興味を示さない)。「じゃあなんでこんなにムキムキなんだよ!?」という読者の問いをスルーするかのように、彼女たちの毎日は続いてゆく。笑えるほどたくましいのに、笑えるほどふつう。この落差がストーリーを推進する力になっている。

 どう見ても度を超したムキムキぶりなのに、彼女たちは身体的コンプレックスをあまり感じていない。服のサイズが合わないことはあるけれど、だからって、痩せたい&小柄になりたいと本気で悲しんだりはせず、モリモリ食べて、じゃんじゃん筋トレに精を出す。さらにいえば、彼女たちはムキムキゆえに男たちから敬遠されるタイプでもない。事実、三人とも交際相手がいるのだ。まさに「リア充」としか言いようがない恋愛模様である。

 なお、彼氏たちはみんな非ムキムキ系であり、ムキムキ女子でなければ愛せないというわけではない。彼らカップルの間を行き交うのは、ごく純粋な恋心だけだ。ふつうじゃない体格に、ふつうの恋愛が搭載される。このバランス感覚、ほんとうに絶妙だ。

1/2ページ

最終更新:9月16日(金)17時5分

Book Bang

記事提供社からのご案内(外部サイト)