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日本人初の独立時計師、菊野昌宏が目指すもの──時をも超える最高峰の1本

GQ JAPAN 9月16日(金)13時51分配信

和時計の機構を腕時計に落とし込んで2013年、独立時計師の協会、AHCIの正会員に日本ではじめて選ばれた。

【日本人初の独立時計師の菊野昌宏 その他画像】

「ファミコンとG-ショックが発売された年に生まれた私にとって、想像すらしたこともない世界でした」

整備の仕事に惹かれて自衛隊員になったものの、時計師に巡り合うと居ても立ってもいられなくなった。しかし、日本にはそんな文化も生産背景もない。のんびりやるつもりだったという菊野昌宏さんは、あるとき大きな衝撃を受けた。

「江戸時代に機械式の置時計を完成させた田中久重を知るんです。ろくな道具もない時代に後の世に語り継がれる傑作をものした。奮い立ちました」

研修生として残った学校でたったの1カ月で複雑時計のレトログラードをつくり上げた。恩師は研究に励めと菊野さんを講師に据えるコースを新設した。

「何本ものヤスリを駆使する私を海の向こうの時計師はクレイジーといいますが、まだまだ。久重と同じ道具だけで勝負したい。そしていつの日か国立科学博物館に展示されたい。久重の作品が陳列されているんです」

時を操る男は時代も超えてその道の第一人者になろうとしている。

菊野昌宏
時計師
1983年北海道生まれ。高校卒業後、自衛隊に入隊。整備部門に配属される。2005年、ヒコ・みづのジュエリーカレッジに入学。その作品がAHCIの重鎮、フィリップ・デュフォー氏に認められて、11年に準会員、13年に正会員になる。
http://www.masahirokikuno.jp

最終更新:9月16日(金)13時51分

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