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【解説】NASA探査機が小惑星ベンヌへ、往復7年8億ドルの旅にまつわる10の事実

ナショナル ジオグラフィック日本版 9月16日(金)7時32分配信

「はやぶさ」に似た小惑星探査ミッション

 米NASAの探査機オシリス・レックス(OSIRIS-Rex)が、米国の2016年9月8日(日本は9日)、ケネディ宇宙センターから打ち上げられ、小惑星ベンヌへの長い旅に出発した。全て予定通りにことが運べば、オシリス・レックスは小惑星ベンヌに到着し、そのかけらを持って2023年に地球に戻る。

組み立て中の探査機オシリス・レックス

 オシリス・レックス(この名称は略語だが、これについては後述)は、NASAの宇宙探査計画「ニューフロンティア計画」が実施する第3のミッションである。これまでの2つは冥王星に接近した探査機ニューホライズンズと、木星の周回軌道に入った探査機ジュノーだった。今回は、これまでと違う点が2つある。探査機が戻ってくること、そして天体から岩石を取ってくるということだ。

「ベンヌは我々が見つけた、暗い小惑星です。この小惑星を目指し、周回し、じっくり観察して、サンプルを持ち帰る予定です」と、NASAのジム・グリーン氏は話す。

 このサンプルリターンミッションは、太陽系を作っている物質の解明や、地球に接近する小惑星に対する防衛に役立つことが期待されている。だが、トラブルが発生する要素はいくつもある。オシリス・レックスは複雑なミッションであり、今月1日に起こったスペースXのロケット爆発でも痛感したように、宇宙は容易には進出を許さないフロンティアなのだ。

 それでも、やる価値はある。

「まさに大冒険です。未知の空間に出かけて行って、科学的に価値のある宝物を持ち帰ってくるのですから」と語るのは、ミッションの主任研究員で、アリゾナ大学のダンテ・ローレッタ氏だ。

 高い関心を集める今回のミッション。ぜひ知っておきたい知識を以下にまとめた。中には、意外なものもあるかもしれない。

1. ベンヌへの往復には約8億ドル(約820億円)かかる

 その上、最速でも7年という長旅だ。まずオシリス・レックスは太陽の周りを1周し、2017年9月22日に地球の近傍を通過。そして2018年8月までには、ベンヌへの接近を始める。その後2年間にわたり、オシリス・レックスは目標に近付きながらその地形を読み取り、着陸とサンプル採取に最適な地点を見極める。ミッションのメンバーたちによれば、2020年7月にサンプル採取を行えるのが理想だという。だが、オシリス・レックスは早くても2021年3月まではベンヌにとどまる予定のため、ある程度は融通が利く。全て計画通りに進めば、探査機は地球のすぐ近くまで帰還し、2023年9月17日、ベンヌのサンプルを入れたカプセルを分離する。

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最終更新:9月16日(金)7時32分

ナショナル ジオグラフィック日本版

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