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日本人こそ知るべきフランス・イスラム水着論争の焦点

Wedge 9月16日(金)12時30分配信

 サウジアラビアでは、女性は運転免許がもらえない。外に出るときは、アバヤという黒装束で、顔も隠すことになる。したがって、前が見えないので運転は無理だろうという理屈だ。イスラムの中でも一番厳しい戒律を誇る地域だからであろう。サウジアラビアと橋でつながるバハレーンでは、オープンカーを片手で運転する女性もいて驚く。そんなイスラム女性の装束が、フランスで大問題となっている。

タンクトップとビキニ

 説明のために話は飛ぶが、戦車もプールもタンクという。共に密封された入れ物だからだろう。プールは水がたっぷり貯蔵されていて泳ぐ場所だから、スイミングタンクだ。タンクトップと言えば、プールで着るものの上だけという意味となろう。あるとき、女性の水着が上下二つに分かれた。その名残だ。上下二つにわかれた水着をビキニといった。南太平洋の諸島の名前だが、このスタイルの水着として瞬く間に世界中に広がった。その後、新手が現われた。

 80年代になると、ビキニのうち上を付けずに海水浴場に現れる女性が南フランスで登場。名前に困って、そんな水着をモノキニとしたようだ。フランス語のしゃれで、2をあらわす“ビ”を“モノ”にかえてビキニをモノキニと名付けた。同時にトップレス是非議論が起きた。上半身裸で海岸をうろつかれては、教育上よくないという趣旨だった。

 歴史は繰り返す。一度目は悲劇で、二度目は滑稽という言葉もあるが、今回は逆で笑い事では済まない。イスラム教徒の女性がかぶるスカーフをブルカと呼ぶが、フランスでブルキニ禁止論争が始まったのだ。イスラムの女性のかぶり物や長袖やタイツで体も掩って海水浴するスタイルをブルキニと呼んでいる。これもフランスの造語だ。

 たとえばトルコでは、世俗派とイスラム派の政党が政権を争っている。現在は、世俗派の政権ではなくイスラム宗教色が強い政権なので、女性はスカーフをかぶることになる。大学レベルでも自由がきかない。トルコはケマル・アタチュルクが大なたで明治維新とも言うべき改革を行ったがイスラム教は捨て切れていない。時の大統領によって、宗教観は大きく揺れている。日本人の感覚からすると、やめてしまった方がいいと思うような宗教上の所作も、放棄することは出来ない。宗教上大切な風習は国別に自由にすればよいが、フランスのブルカの件は異国での問題なので複雑だ。

 フランスはカトリックの国であるが、共和国となり宗教色は公共の場では排除された。一方カトリックが国教のベルギー王国では、国立大学の教室でも必ず十字架がある。ドイツやベルギーでは非宗教の大学は、わざわざ自由大学と名付けている場合もある。カトリック大学とはいえ、イスラム教の学生もいる。どの学生がイスラム教とかは、すぐにはわからない。女子学生はスカーフをするときにわかる。男子学生は部屋に遊びに行くとお祈りマットがある。

 35年ほど前、暗殺されたエジプトのサダト大統領は、おでこに出来たお祈りこぶで、見るからにイスラム教徒だとわかったそうだ。サダトはそれ程までに敬虔なのでイスラエルと和平をしても許されたようだが、それでも式典で暗殺されてしまった。

 本論に戻せば、フランスのいくつかの町では、法律でブルキニでの海水浴を禁止してしまった。15年ほど前にブルカをフランスの学校でかぶることについて激しい議論があった。フランスの公立学校・公立病院は、LAIQUEといって非宗教が原則だ。とはいえ自由・平等・博愛なので強く禁止も出来ない。そもそも、フランス革命はブルジョワがカトリックの縛りから切り離す意味合いもあった。したがってフランスではLAIQUEはとても重いものだ。フランスは共和国になり、憲法上からも公共域での宗教性が厳格に排除される事は確認されている。

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最終更新:9月16日(金)12時30分

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