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人間がスパイダーマンになる日はやってくるのか?

@DIME 9月16日(金)18時30分配信

 マーベル・コミックスのヒーローたちがこれでもかと登場する「アベンジャーズ」シリーズ最新作、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で遂にスパイダーマンが登場してファンを喜ばせたことは記憶に新しい。ほかのヒーローにはないアクロバチックな身のこなしと、ヒーローでありながら一般人の感性を備えた親近感溢れるキャラクターでファンを魅了するスパイダーマンの人気はまだまだ続きそうだ。

■スパイダーマン最新作が撮影中

 スパイダーマン映画の最新作は2014年公開の『アメイジング・スパイダーマン2』だが、その続編となるはずだった“3”は諸般の事情でキャンセルとなった。大ヒットした前3部作にくらべると、「アメイジング」は興行的失敗といえるほどの収益に留まったことが第一の理由だが、スパイダーマンのIPを保有するソニー・ピクチャーズと、マーベルを傘下に収めたディズニーとの間の“大人の事情”もあったように思われる。

 ともあれ、今年のG.W.映画の目玉であった『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でスパイダーマンもまた“準”ディズニーキャラクターになったことは、IP関連で何らかの合意が得られたことの証だろう。

 そして文字通り仕切り直しとなる新展開のスパイダーマン映画が来年の夏に公開予定の『SPIDER-MAN: Homecoming』だ。新たなスパイダーマン=ピーター・パーカー役にはトム・ホランドが起用され、ヒロインのメリー・ジェーン・ワトソン役に女優で歌手のゼンデイヤが抜擢された。またエンタメ情報誌「Variety」のサイトによれば、映画『アイアンマン』シリーズでスタークの付き人であるハッピー役を演じたジョン・ファヴローの出演も噂されているようだ。

 このほかにもアイアンマン役のロバート・ダウニー・Jrをはじめ、マリサ・トメイ、ジョン・ファヴロー、ローラ・ハリアー、トニー・レヴォロリ、ケネス・チョイ、ドナルド・グローヴァー、ローガン・マーシャル・グリーンらが出演する。先にスパイダーマンが『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』に登場し「アベンジャーズ」の世界観を共有したことにより、どのようにロバート・ダウニー・Jr演じるアイアンマンがストーリーに関わってくるのかにも注目が集まるだろう。

 ジョン・ワッツ監督が撮影の指揮を執り、現在アトランタで撮影が進んでいるという同作だが、収録の合間を縫って先日、スパイダーマンのスーツを着用したトム・ホランドがアトランタの小児病院を慰問に訪れたことがニュースになっている。子どもたちの求めに応じて随所で記念撮影とサインに応じていたトム・ホランドだが、インタビューでは20着あるうちの“スパイダーマンスーツ”のうち写真撮影用のキレイなスーツを着てきたとウラ話を披瀝。戦闘で破けてスーツがボロボロになったとしても、実は着替えはいくらでもあるというのは、ネタバレぎりぎりの撮影秘話かもしれない!? ともあれファンには来年の夏が待ち遠しくなる話題だろう。

■人間はスパイダーマンになれない!?

 クモのように軽々と断崖絶壁をよじ登り、繰り出した糸で華麗な空中ブランコを見せて宙を舞うスパイダーマンの運動能力は羨望の的だ。もし将来強力な接着パッドが開発されれば、我々も自由自在にビルの壁をよじ登れるのだろうか。実は高性能接着パッドが開発されても、我々人間が垂直の壁を自由に登るのはかなりの難題であるという、ちょっとガッカリする研究が発表されている。我々はおそらくスパイダーマンにはなれないということだ。

 ケンブリッジ大学のデイビッド・ラボンテ博士は、壁を垂直に登る能力を持つ225の生物種を分析して比較検証した。小さいものではノミから、大きいものではヤモリまでを詳細に分析し、壁や天井にくっつくための“接着パッド”が、体積の何パーセント必要かを割り出したのだ。

 驚くべきことに、ノミでは体表の僅か0.02%を占める足先だけを使って垂直登坂が可能なのに比べて、クモでは0.92%、ヤモリでは4.3%と絶対的なボディサイズが大きくなるほど、より大きな面積の“接着パッド”が要求されてくることが判明したのである。ノミとヤモリでは必要とされる接着パッドの面積は200倍にも及んでいる。

 そしてこれを人間に適応させてみるとどうなるのか。もしヤモリの足が持つ吸着力と同じ程度の接着パッドが開発されたと仮定して、人間が彼らと同じように自由に垂直の壁をよじ登るには、身体の表面積の40%を覆う接着パッドが必要であるということだ。もし正面を向いて壁を登るとすれば、身体の正面の面積8割を接着パッドで覆わなければならないのである。

 頭を除くほぼ全身に接着パッドを装着しなければ垂直の壁を登れないとすれば、まさに垂直モードの匍匐(ほふく)前進を行なうような動きしかできず、残念ながらスパイダーマンの華麗なアクションとは程遠いことになる。

「幅広くさまざまな生物を調べましたが、接着できる足の構造はどれもとても似ています。必要な接着面積に関してノミとヤモリの差は、アリと人間の差と同じです」(デイビッド・ラボンテ博士)

 スパイダーマンのように、もしも手のひらと足裏だけで高層ビルの壁を素早く登ることができればこの上ない爽快感を覚えるだろうが、生物のスケール面でなかなか難しいということのようだ。しかしながら、今後の科学技術でヤモリの接着能力をはるかに超えるきわめて強力な“接着パッド”が開発されるとすればその限りではない。はたして“リアル”スパイダーマンが誕生する日はくるのだろうか。

■心配性の人は“スパイディー・センス”の持ち主

 運動能力的にスパイダーマンになることはきわめて難しいことがわかったのだが、クモの持つ“超能力”を我々もまた持っていることが最新の研究で指摘されている。

 クモはきわめて優れた感知能力と反射神経を備えているが、スパイダーマンもまた待ち構えるさまざな危機を事前に察知する第六感ともいうべき“スパイディー・センス(spidey sense)”を持っている。しかしこのスパイディー・センスはどうやら人間にも備わっているようなのだ。

 だがすべての人間がこの“超能力”を持つというわけではなく、このクモのように鋭敏な第六感を持つ人々は、“心配性”の人々である。では科学的な“心配性”とはどんな人々なのか。

 INSERM(フランス国立保健医学研究所)の研究によれば、心配性の人々は脳の特定の場所で素早く危険を察知して、次の行動に生かしているということだ。もちろん実際に災害や事故の現場に直接居合わせれば誰もがなるべく危険を回避しようと行動するであろうが、そこまで直接的でない場合の危険を、心配性の人は他者の表情から読み取っているということだ。

 実験では、参加者にいくつかの感情を表した人間の顔を見てもらい脳波を測定した。予想通りのことではあるが“無表情”の顔にはあまり脳は反応せず、怒りの表情には強く脳が反応することがわかったが、心配性の人ほど反応が俊敏で、運動を司る脳の部位までが刺激されていることも判明した。つまり、心配性の人は危険を素早く察知し、行動の準備まで行なっているのだ。

 そして表情と共に重要なのが視線である。怒りの表情でその視線が自分に向けられている場合、当然のことながら普通の人も心配性の人も最大の危険を感じることに変わりはない。しかし心配症の人は、何かを見て恐れの表情をあらわしている顔に特に敏感に反応するということだ。つまり恐怖の色を見せた表情でその視線が自分以外の方向を向いている顔である。心配性の人は、他人の身に起こっている危険や恐怖にいち早く気づき、一歩先んじた行動をとることができるというわけだ。

 研究によれば心配性の人々のこの“超能力”は進化の過程で人間が身につけた能力であるという。運動性能的にスパイダーマンになるのは難しいにしても、“スパイディー・センス”は一部の人々には備わっている能力だったのだ。

 ひるがえって今日の混迷の時代にあって“機を見るに敏”であることは大きなアドバンテージになるだろう。危機を敏感に察知して俊敏かつ華麗な動きで対処するスパイダーマンの人気の秘密の一端はそのへんにあるのかもしれない。

文/仲田しんじ

@DIME編集部

最終更新:9月16日(金)18時30分

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