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氣志團・綾小路翔が語る『スクール・ウォーズ』の精神 「熱く生きることがクールだと教えてくれた」

リアルサウンド 9/16(金) 16:46配信

 80年代に一世を風靡したドラマ『スクール・ウォーズ』が、初のブルーレイ化作品『泣き虫先生の7年戦争 スクール・ウォーズ Blu-ray BOX』として、9月7日にリリースされた。同作は、ラグビーの元日本代表フランカーの山口良治が、京都市立伏見工業高等学校ラグビー部を率いて全国大会優勝を果たすまで綴った、馬場信浩の「落ちこぼれ軍団の奇跡」を原作とした青春ドラマ。ラグビー元全日本メンバーの滝沢賢治が、校内暴力で荒れる川浜高校に教師として着任し、“信は力なり”をモットーに荒廃する学園を救いながら、ラグビー部を全国大会優勝に導くまでを描き出した作品だ。

 今回、リアルサウンド映画部では、現在の日本の音楽シーンにおいて、もっとも熱心な『スクール・ウォーズ』マニアである氣志團・綾小路翔にインタビューを行なった。本作との出会いから、影響を受けたキャラクターやシーンについて、さらには本作が時代を超えて放ち続ける“本質的な価値”についてまで、熱く語ってもらった。

■「信じ、待ち、許す」の精神無くしては、ここまでバンドを続けられなかった

ーー綾小路さんは、『スクール・ウォーズ』の熱心なファンであることを公言し、ライブなどでも『スクール・ウォーズ』を題材としたネタを披露されています。本作とはいつ、どのように出会ったのでしょうか?

綾小路:おそらく小学校低学年から中学年ぐらいの頃の再放送で観たのが初めてだったかと思います。とにかく、その後も何度も夕方に再放送されていた記憶があります。

ーー『スクール・ウォーズ』のどんなところに魅力を感じ、ハマっていったのでしょうか?

綾小路:高校生の頃、同級生にかなりのスクール・ウォーズヲタがいて、彼が作中の名台詞などを多用してはクラスメイトを笑わせているのを見て、改めて観るようになり夢中に。高3の文化祭のクラスの出し物では本作の完全オマージュ映画『グッバイ青春』を制作しました。それからまた数年が経ち、デビュー後、レコード店でDVDを発見し購入。ツアー中、本番前に1話ずつ鑑賞しては感情移入。再び想いが再燃し、“世界一のスクール・ウォーズ・オマージュ作品”を自認する、ツアー「氣志團學園」の構想に至りました。

ーー好きなキャラクターを3人、それぞれどんなところが魅力的か教えてください。

綾小路:1位は大木大助。なにしろカッコ良かった。「東京流れ者」を歌いながら喧嘩するシーンなど、これまで見てきた不良キャラクターを凌駕するその破天荒っぷりに魂を奪われました。2位はイソップ。最も自分を重ね合わせたキャラクター。彼が大木に向かって放った「例え負けるとわかっていても、最後の最後まで戦い抜く、それが男だろ! ラガーマンだろ!」という、かの名台詞は、才能がない事を自覚しながらも、このショービズの世界にしがみつく自分にとって、今も何より励みとなっている言葉です。3位は滝沢賢治。何と言っても、この人の涙がなければ始まりませんでした。立場は違えど、寡黙ながらも荒くれ者揃いのメンバー達を率いる身。滝沢先生の「信じ、待ち、許す」の精神無くしては、ここまでバンドを続けられなかったと断言します。次点は劇中に登場するバンドの黒騎士(ブラックナイト)。大映ドラマ作品の中に突如登場する楽曲って、何でこんなにも耳から離れないのでしょうか……。「俺たちのロックはよ、怒りと悔しさを涙のスパイスで味付けした五目そばなんだよ!」最&高!

ーーでは、忘れられない名シーンは?

綾小路:逆に言えば、名シーンしかないのが『スクール・ウォーズ』。何もかもが素晴らしく、選ぶのは至難の技ですが、それならば私が敢えて触れたいのはこちら。

●『本屋の先輩』
 かの名曲「ヒーロー」が流れ出して始まるOP。鶴見辰吾の名がクレジットされた後のおそらく52~3秒辺り、書店で堂々と本を鞄の中に詰め込む少年達。さらには、止めに入った店員を背後から殴打する、凶悪な顔立ちの不良が登場。万引きどころではなく、もはや強盗。当時の木更津ではこのキャラクターの存在が何より注目されており、「常識外の事をする人間」のことを「本屋の先輩」と称するようになったのでした。

例)「こないだ内田先輩が奥寺をボコった後、口の中に鰊を詰めた挙句、全裸でバスケットリングに吊るし上げたらしいぜ」

「マジかよ…それ本屋の先輩じゃん…」

●そこには愛情と熱意が確かに存在した

ーー本作が放送されていた80年代は、カルチャー的にも今とは違うところがたくさんあります。当時の良かったところは、どんなところだと思いますか? 作品を通じて、改めて感じたことを教えてください。

綾小路:人が持つ熱量です。現代ではありえないような根性論であったり、暴力的な描写もありますが、そこには愛情と熱意が確かに存在した。だからこそ、あの時代、親や教師、仲間との間に、魂が呼応する瞬間を僕らも実際に体感することが出来たのかも知れません。

ーー本作では大木大助のように、不良から更生してラグビーに打ち込む少年がたくさん出てきます。いわゆる不良と呼ばれる少年たちを、綾小路さんはどう捉えていますか?

綾小路:正負に関わらず、エネルギーのやり場を持て余すことによって生まれる存在だと思っています。作中には、水原や大木以外にも様々なタイプの不良少年が登場しますが、共通するのは誰もが寂しがり屋だということ。可愛いんですよね。不良って。可愛いくないのはもう不良ではなく、ならず者です。

ーー本作が伝えるメッセージのひとつに「One for all, All for one」があります。この精神はバンドでの活動にも活かされていますか?  もし活かされているのであれば、どんなときにそれを感じますか?

綾小路:我々の楽曲「鉄のハート」にも使用されているワード。組織で活動するものにとっては最も美徳とされている精神ですが、実社会においてはなかなか難しい事だと思っています。特にバンドマンなんてのは、誰もが自分勝手な生き物なので。ただ、結成15年を越えた辺りから、それぞれが自分の役割を全うするようになって来た。滝沢賢治ばりに諦める気配のない僕に、いよいよ根負けしたのかも?

ーーでは最後に、本作をどんな方に、どのように観てほしいですか? おすすめのポイントや、今だからこそ感じる魅力などについて教えてください。

綾小路:今の時代との感性や価値観の違いを見比べながら、軽い気持ちで観ると良いと思います。最初は笑っちゃうことばかりかも知れません。でも気がついたら目が離せなくなります。最後には涙が止まりません。時代も世代も関係ない。熱く生きるってことが何よりクールなのだと彼らが教えてくれます。20世紀最高の青春活劇です。

構成=リアルサウンド編集部

最終更新:9/16(金) 16:46

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