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独立を目指す自治州が大使館を各国に独自開設! カタルーニャ8番目の大使館がリスボンに。

HARBOR BUSINESS Online 9/16(金) 9:10配信

 スペインから独立することを望んでいるカタルーニャ州政府は9月に入って8番目の「カタルーニャ大使館」をポルトガルの首都リスボンに開設した。

 大使館というのは国が外国に大使を派遣して、彼の指揮のもとに国の公務を行なう組織体である。そして、その組織体が位置する敷地は不可侵が国際法によって保障されている。ということから、大使館を開設するには独立した国である必要がある。

 カタルーニャは自治州であって、国家ではない。よって、大使館を開設できる資格はない。しかし、カタルーニャ州政府はこの規定を無視して独自に大使館を開設しているのである。在リスボン大使館の開設にあたって、州政府のロメバ外務長官は「正当で、独立した自由な国家になることが保障されるべく、すべての機能を備えた国になることを望んでいる。(大使館を開設するという)このプロジェクトは市民にとって政府をより強固で有用なものにしてくれる」と述べた。(参照『Voz Populi』)

 しかし、この州政府の姿勢に対して、現地のポルトガル政府は冷たい反応を見せただけであったという。何故なら、ポルトガル政府が対スペインにおいて相手にするのはスペイン大使館であるという考えからである。一方のカタルーニャ州政府の狙いは、カタルーニャに関してはカタルーニャ大使館と直接接触して欲しいというのが望みなのである。

◆44の大使館開設を目指す

 カタルーニャ州にとって在リスボン大使館は8番目の大使館の開設である。その前に、パリ、ブルッセル、ベルリン、ロンドン、ワシントン、ウイーン、ローマに大使館を開設している。この次に開設が予定されているのはバチカン、コペンハーゲン、ワルシャワ、ジュネーブ、ザグレブ、ブエノスアイレス、,メキシコ、ソウル、ラバトであるという。(参照『El Confidencial』)

 カタルーニャ州政府の目標は44の大使館の開設であるとしている。ニューヨークの国連にも事務所を開設する予定になっている。(参照『El Confidencial』)。

 カタルーニャ州政府のこの大使館設置の活動に対して、スペイン中央政府は“大使館の開設はスペイン国家が唯一もっている特権”であり、それは”スペイン憲法149条に謳われている”と指摘している。

 更に、カタルーニャ州の条例にも“外交はスペイン国家の権限を尊重する”と規定されているとした上で、中央政府はスペイン憲法裁判所にカタルーニャ州政府のこの違憲活動を訴えている。

 これによって、憲法裁判所から違憲の判決が下り、大使館開設を廃止させるというのが中央政府の狙いだ。また、スペイン中央政府はこの違憲活動を訴えたこと以前に、州政府が外務長官を任命していること自体にも不満を表明している。国の外交はスペイン中央政府だけに委ねられたものであるからである。よって、スペインの他の自治州政府には外務長官は存在しない。(参照『El Confidencial』)。

◆カタルーニャ大使館は何をしている?

 では、カタルーニャ大使館はどのような活動をしているのか。

 リスボン大使館開設の前に、これまで開設している7つの大使館では主にカタルーニャの文化の普及活動や貿易取引の進展を主要目的にしていた。しかし、今後は政治的な色彩も強めたいと望んでいるようだ。即ち、外国にカタルーニャ州の独立について理解してもらい協力を仰ぐ政治活動である。

 EU加盟国の間ではカタルーニャの独立運動の動きは十分に理解されていない。しかし、継続して独立の正当性を訴え続けて行けば目的は達成されると考えているのが現在のカタルーニャ政府である。ただ、カタルーニャが独立すればEU加盟は出来ない、また共同通貨も使用できなくなるということは明白である。EU加盟国のスペインがそれに反対するからである。加盟国の一国だけでも加盟申請国のEU加盟に反対すれば、申請国は加盟できないことになっている。それを知っている多くの国際企業は仮に独立が達成された場合を考慮してカタルーニャ州から去っているのが現実なのだ。

◆カタルーニャ州民は微妙な気持ち

 カタルーニャの独立を支持しているのは州民の半分で、もう一方の半分はそれに反対していることも読者は知っておく必要がある。

 なにしろ、大使館を開設するには巨額の資金が必要である。にも関わらず、カタルーニャ州政府は全国でも財政赤字がトップレベルの自治州のひとつでもるのだ。その上、大使館の開設は違憲であるのは憲法裁判所の判決を待たずとも明白である。それを承知で、今も大使館の開設を続ける考えに常識では理解できない。

 しかし、カタラン人は中々の才覚者で、また商売人でもある。1992年にバルセロナでオリンピックを開催したが、あの当時だとスペインの首都マドリードでは開催できるだけの組織力も能力もなかった、その意味でカタラン人はスペインの中でバスク人と同様に一歩も二歩も先を行っている。その意味において、カタラン人がやることには常に目には見えない何か意義をもってやっているような気が筆者にはする。

<文/白石和幸 photo by Aero Pixels on flickr(CC BY-SA 2.0) >

しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:9/16(金) 9:10

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