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「不動産投資に失敗する人」の甘すぎる考え

東洋経済オンライン 9月16日(金)6時0分配信

「マイナス金利時代でも高利回りが期待できる」という触れ込みで、不動産投資ブームが再燃している。サラリーマンでも手軽にでき、しかも不労所得が簡単に得られると思って、ついついこの世界をのぞいてみると、不動産業者から勧誘の嵐にあうことも多い。
そんな昨今の不動産投資にはどんな問題が潜んでいるのだろうか? 『不動産投資は出口戦略が9割』の著者で住宅コンサルタントの寺岡孝氏が解説する。

■強引すぎる電話勧誘からセミナー後の勧誘へシフト

 投資用マンションの売り込みは、基本的には「名簿営業」が大半を占める。ほとんどの場合、名簿はおそらく名簿屋から購入している。

 彼らがいちばんのターゲットとしているのは、医者。なかでも大学病院の勤務医が狙われやすいようだ。患者や患者の家族のフリなどをして聞き出すのだろう。それぞれの医師が持たされている病院内のPHSの直通番号を知っている営業マンもいたりする。

 社会に出てすぐで、まだ世間をよく知らない研修医も狙われてしまう。実際、研修の期間中に投資マンションを買った医師からも話を聞いたことがある。また、高額の年収が見込まれるテレビ局や広告代理店などの上場企業のサラリーマンやOL、病院勤務の看護師、公務員なども主なターゲットになっている。

 また、近年はインターネットを介しての勧誘が定着している。ホームページを見た消費者に問い合わせや資料請求をしてもらい、セミナーに足を運ばせ、営業から購買へと結びつけるパターンだ。とにかく1回、面談にこぎ着ける。そこで一気に営業マンが勝負をかける。もちろん、マンション投資のメリットしか話をしない。営業トークは完璧にマニュアル化されているのでなかなか反論すらできない。

セミナーや相談会のカラクリ

 中でも不動産業者が主催する不動産投資セミナーが流行っている。この手法は不動産業者の営業マンがセールストークするよりも、不動産コンサルタント、FP(ファイナンシャルプランナー)といった不動産や金融の専門家がセミナー講師として「マイナス金利のこのご時世、不動産投資はおすすめだ」と言ってもらったほうが、消費者に「投資はやっぱり不動産なんだ」、「リスクが低く心配ない」と思わせることができる。

 当然、そこには「ウチの物件が売れたら(物件価格の)数パーセントを紹介料でお支払いします」と不動産業者とFPなどの専門家との間での約束があるわけだ。これは投資用マンション販売に限らず、居住用の新築マンション販売でもよく使われる手で、「不動産コンサルタントの投資セミナー」や「提携FPとの住宅ローン相談」といったセミナーや相談会の類は、ほぼほぼ不動産会社のひも付きと思っておいたほうがいいだろう。

 最終的に面談に至るような消費者は「できれば買いたい。でも、自分の年収で買えるのか」と思っている。一方、多少年収が低かろうが買わせたいと狙っているのが不動産会社。そこで、営業マンやFPが話巧みに年収を聞き出し「銀行がOKなら大丈夫です」と背中を押してしまうのだ。

■サラリーマン投資家が陥る購入後の失敗パターン

 不動産投資を行うサラリーマンは多いが、失敗する人もかなりいる。不動産投資に誘う書籍が多数出版されている。どれもみな「これなら自分にも簡単にできそう」と思えるような内容のものばかり。ところが、残念ながら不動産投資はそんなに簡単にできるようなものではない。

 私が実際にアドバイスした事例を紹介しよう。

 Aさんは2011年に投資用のワンルームマンション3戸を購入。さらに最近、居住用に3900万円の一戸建てを購入した。だが、「いろいろ調べているうちに、どんでもないものに手をつけてしまったことに気づき、とても後悔している」。

 Aさんは大企業に勤める20代後半のサラリーマンで年収は500万円、貯金が250万円。東京・新宿と目黒と三鷹のマンションを購入し、残債はトータルで6500万円。これに自宅のローン3500万円が加わり、借金は計約1億円にも上っている。

 それにしても自宅のローン審査がよく通ったと思う。やはり若さがモノをいったのだろうか。 Aさんの場合、投資マンションを販売した不動産会社がいい加減で、入居者を管理する業者が潰れてしまったにもかかわらず、オーナーにそのことを知らせていなかった。

 次の賃貸管理業者も決まらないまま、宙ぶらりんの状態で放置されていたわけだ。そんな状況のため、本当はすぐにでもすべて売却したいところだが、現時点ではローン残債が市場価格を上回っているため損切りしないといけない状態。しかしながら、ローン残債を補てんする自己資金がないので損切りしての売却は不可能だった。

 そこで、まず賃貸管理業者の件から整理すべくサポートした珍しい例。投資物件を手がける不動産会社が急増したいま、十分に起こりえるケースでもある。

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最終更新:9月16日(金)6時0分

東洋経済オンライン

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