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松下幸之助は、常に「全身全霊」で考え抜いた

東洋経済オンライン 9月16日(金)6時0分配信

江口克彦氏のベストセラー『経営秘伝――ある経営者から聞いた言葉』。松下幸之助の語り口そのままに軽妙な大阪弁で経営について語った著書で、1992年の刊行後、20万部を売り上げた。本連載は、この『経営秘伝』をベースにしている。「経営の神様」の問わず語りは、多くのビジネスパーソンにとって参考になるに違いない。 

 方針の決め方か。それはな、まず経営者が自分で考えて考え抜いて、自身で心の底から、うん、そうだ、これだ、と思うものでないといかんね。たとえば、それが素朴な言葉であっても、悟るというか、ハッとするものね、そういうものを方針として決めんといかん。それを、ただなにか本を読んでいい言葉を見つけたり、他人の話を聞くだけで方針を決める、というようなことではあかんわけや。ま、「方針は悟り」ということやな。

■全身全霊、命をかけて決めるもんや

 そしてそれだけではなく、さらにだれが考えてもそうだと納得できるようなものでないとダメやね。経営者だけでなく、従業員も株主もお客様もみんながそういう方針ならば賛成できます、納得できますというような方針。そういうものでないといかん。経営者がひとりだけ喜んでおるような方針ではあかんわな。

 けどなあ、実はそれだけでもいかんのや。広く世間様がどう思うか。世の中の多くのみなさんが、お客様やお得意様だけではなく世の中の方々みんなが、それはいいと賛成してくれるものでないといかんわな。

 さらには天地自然の理にかなっているかどうか、ということも考えんといかん。宇宙全体には生成発展するという理法がある。そういう理法に即して方針が作られておるのかどうかということ。まあ、そういうことやから、方針を決めるということは経営者にとってすれば、並大抵のことではない。自分で考える。社員、株主、お客様が納得する。世間様が賛成する。そして、自然の理法に即している。この4つの条件がそろっていることが大事やからね。とにかく、全身全霊、命をかけて決めるもんや。基本理念もな、具体的目標もな、最終目標というか理想というものも、経営者自身の、いわば「悟り」なんや。

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最終更新:9月16日(金)8時30分

東洋経済オンライン

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