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小宮一慶:再建を目指すシャープと東芝の行方を最新決算から検証する

nikkei BPnet 9月16日(金)9時57分配信

 日本を代表する電機メーカーであるシャープと東芝が経営危機に陥り、今後の行方がどうなるのか注目を集めています。
 台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業に買収されたシャープは、8月13日の臨時の取締役会で新社長に鴻海の戴正呉副総裁を選任しました。新たな経営体制は、取締役9人のうち鴻海の指名者が6人を占め、鴻海の影響力が強いものとなっています。
 東芝は不正会計問題から経営危機に見舞われていたものの、16年4~6月期にようやく業績が回復し、明るい兆しが見えてきました。しかし、以前本コラム「三菱自動車より深刻な東芝の経営再建を検証する」でも述べましたように、厳しい状況であることには変わりありません。
 今回は、シャープと東芝の最新の決算を分析しながら、今後の見極めポイントを考えます。

コスト削減で前年同期よりは改善したシャープ

 シャープは鴻海の傘下に入ることに合意していたものの、中国当局による承認が遅れていたために、出資が実行できない状況が続いていました。

 8月12日、鴻海がようやくシャープに約3900億円を支払い、買収手続きが完了したため、翌13日に臨時取締役会で社長が高橋興三氏から鴻海副総裁の戴正呉氏に交代し、これから本格的に経営再建が始まります。

 経営陣の顔ぶれを見ると、冒頭にも述べたように取締役の9人中6人が鴻海の指名者ということですから、鴻海が経営を支配している状況です。鴻海は本気でシャープを建て直そうとするでしょうから、厳しいリストラもやらざるを得なくなると考えられます。買収交渉段階では、社長交代もなく、リストラもゼロという話でしたが、すでに、国内2000人、海外5000人の計7000人のリストラを発表しています。

 では、2016年4~6月期のシャープの決算内容を見ていきましょう。

 まずは損益計算書から業績を調べますと、売上高は前年同期より31.5%減の4233億円。売上原価を大幅に削ったことで、粗利である売上総利益は4.4%増の736億円となりました。

 さらに、営業費用や広告費にあたる販売費及び一般管理費(販管費)を23.3%も減らしたことで、本業の利益にあたる営業利益(ここでは損失)は、マイナス287億円からマイナス25億円まで大きく回復しました。

 ただ、営業損失が縮小したのは、前年度からのコスト削減効果によるものです。

 本業は好調とは言えません。特に主力の液晶事業は、米アップルのiPhoneの売り上げが伸び悩んでいることや、テレビ用大型液晶の需要減による価格の下落、そして円高も相まって、大幅に落ち込みました。この事業の営業損失(セグメント損失)は、107億にも上っています。

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最終更新:9月16日(金)9時57分

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