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オダギリジョーがオススメ「“不器用な”映画」3選

R25 9月17日(土)7時1分配信

孤高の作家・佐藤泰志による同名小説を原作に、『苦役列車』の山下敦弘監督が心に傷を抱えて生きる男女の不器用な恋を描いた『オーバー・フェンス』。今回は主役の白岩を演じたオダギリジョーさんに、作品のテーマにちなんで「不器用に生きる人々を描いた映画」を3本選んでもらった。

●『ポンヌフの恋人』(1991年)
監督:レオス・カラックス 
出演:ドニ・ラヴァン、ジュリエット・ビノシュほか

パリのポンヌフ橋に暮らすホームレスの青年アレックスと、失恋と失明の危機で自暴自棄になっている画学生ミシェルとの恋愛模様を描く。

「10代の頃に観たんですけど、精神面も含めてどこかバランスの崩れた男女が支え合うようにパリの街で生きる姿にすごく惹きつけられました。実は、人の恋愛模様に大きな興味を持てないので(笑)、恋愛映画ってあんまり好きじゃないんです。でもこの作品は映像も素晴らしいし、ドニ・ラヴァンの表現力に圧倒されて…。その後の自分の映画の好みを決めた1本かもしれません」(オダギリさん、以下同)

●『浮き雲』(1996年)
監督:アキ・カウリスマキ
出演:カティ・オウティネン、カリ・ヴァーナネンほか

ヘルシンキを舞台に、失業中の夫婦が苦労の末、新たな生きる道を見つけ出す人間ドラマ。職を失ったラウリとイロナは、一攫千金を狙ったギャンブルで大損し、唯一の財産だったアパートも失ってしまう。

「カウリスマキの作品は、不器用な男が出てきて、そんなに魅力的でもない女と物悲しく時を過ごすという印象が強くて(笑)。観ていてどこか後ろ髪を引かれるような、もう少しこの人たちを見つめてあげたいなと思わせるような魅力がありますね」

●『レザボア・ドックス』(1992年)
監督:クエンティン・タランティーノ
出演:ハーヴェイ・カイテル、ティム・ロスほか

宝石強盗に失敗した悪党6人が、「このなかに裏切り者がいる」との発言から疑心暗鬼に陥り、破滅していくさまを活写したバイオレンス・アクション。

「事情を抱えた男たちがひとつの場所に集まっている、という設定がどこか『オーバー・フェンス』を連想させますね。“人が集まることで物語が進む”というのは映画の基本ですけれど、この作品でそれを見せつけられた気がして。交わされるセリフで構築していくストーリーは、ワンシチュエーションだからこその見せ方ですし、場所の変換や大きな事件がなくとも映画は作れると学んだ1本です」

もともと監督志望だったというオダギリさんは、制作者の視座から“映画”を見据えているように感じられる。若い頃にはジム・ジャームッシュにデビット・リンチといった監督たちに影響を受けたという。

「この人には一生敵わないんだろうなって思わせてくれるオリジナリティの強い、我が道を行くタイプの監督が好きですね」

その深掘りの姿勢は『オーバー・フェンス』の役作りにおいても同様。卓越した洞察力による丁寧な演技で、多くを語らない白岩の心象風景を見事に表現してみせた。

「ただ流れ作業のように生きる白岩が、飲み屋で若い女の子たちに『笑える時に笑っとけよ、何も面白いこともなく、ただ生きていくだけになるんだから』と感情を露わにするシーンがあるんです。その言葉は、何かにちゃんと向き合おうとしなかった彼の胸にも当然突き刺さったはずで。でも人間ってそんな矛盾を抱えている生き物だし、だからこそ言ってしまった後のジレンマ…に、近いものを表現できればいいなと思いました」

難解な映画なの? という心配はご無用。函館の街を舞台に描かれたこの人間ドラマ、時折挿入されるファンタジックな演出も功を奏していて、後味はかなりさわやかだ。
(足立美由紀)
『オーバー・フェンス』
離婚後、東京から故郷の函館に戻ってきた白岩は、職業訓練校に通い惰性的な毎日を送っていた。そんなある日、白岩は聡(さとし)という名の美しくも風変りな女性と出会い心惹かれる
監督:山下敦弘
出演:オダギリジョー、蒼井 優、松田翔太ほか
9月17日(土)、テアトル新宿ほか全国公開
(C) 2016「オーバー・フェンス」製作委員会

(R25編集部)

※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびR25から一部抜粋したものです
※一部のコラムを除き、R25では図・表・写真付きのコラムを掲載しております

最終更新:9月17日(土)7時1分

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