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フィリピンの暴言王ドゥテルテ大統領 中国包囲網に暗雲

週刊文春 9月17日(土)7時1分配信

「こいつもバカだと思った。(批判は)まったく気にしない。私はフィリピンの大統領であって、国際社会の大統領ではないのだから」

 9月9日、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領(71)は、潘基文国連事務総長についてこう言い放った。

 潘氏の批判とは、ドゥテルテ大統領が6月に就任して以来、推し進めている“ある政策”に対するものだ。

「ダバオ市の市長を7期22年にわたり務めたドゥテルテ大統領は就任以前から麻薬撲滅を掲げていましたが、就任直後に麻薬密売人の殺害を警察に命じ、一般市民にも麻薬中毒者の殺害を奨励しています」(現地紙記者)

 フィリピン国家警察は8月までに756人の麻薬関連容疑者を殺害したと発表したが、一説には既に3000人以上が殺害されているという。

「死者の半数以上が正体不明の襲撃者に暗殺されていることから、市民の間では治安部隊や警察に雇われた殺し屋が麻薬に関与していると疑われる人々を手当たり次第に射殺していると恐怖が広がっています」(同前)

 ドゥテルテ政権による“超法規的”殺人に対し国連やアムネスティ・インターナショナルから批判の声が高まり、6日に予定されていた米比首脳会談でも議題に上ることが指摘されていた。

「前日にそのことを問われたドゥテルテ氏は、オバマ大統領を『プータン・イナ(売春婦の息子)』と罵り、米国側が会談をキャンセルする事態になりました」(同前)

 91パーセントという驚異的な支持率(7月時点)を背景に強気な発言を繰り返すドゥテルテ氏だが、これはさすがにまずいと思ったようだ。

「9日に、自身の暴言は、オバマ氏ではなく米国務省に向けたものだと釈明しましたが、同じ席で潘氏への新たな暴言が飛び出した。本音はこちらでしょう」(外信部記者)

 一連のドゥテルテ氏の“暴走”は、日本にとっても大きな影響を及ぼしそうだ。

「強気なドゥテルテ大統領ですが、中国による南シナ海の実効支配に対しては方針が定まらず、オバマ大統領は今回の首脳会談で、連携を確認する予定でした。この暴言騒動は、両国の連携に悪影響を与えたのみならず、“中国包囲網”を築きたかった日本にとっても痛かった」(同前)


<週刊文春2016年9月22日号『THIS WEEK 国際』より>

「週刊文春」編集部

最終更新:9月17日(土)7時6分

週刊文春

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