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渡辺謙が現代人に伝えたいこと、そして若手を牽引する心からのメッセージ。

VOGUE JAPAN 9月17日(土)13時0分配信

ハリウッド、ブロードウェイにも活躍の場を広げている国際派、渡辺謙。新作映画『怒り』(9月17日公開)について、そして世界進出を夢見る人たちへのアドバイス、気さくな素顔が垣間見える一問一答まで語ってくれた。

渡辺謙への【一問一答コーナー】今まで会った人の中で一番面白い人は?

ーーー最初の登場シーンでは、一瞬渡辺さんだと気づかないほど役になりきっていらっしゃいました。どのような準備をして撮影に臨まれましたか?

未解決の殺人事件から1年後、逃亡中の犯人と疑われる男3人が千葉、東京、沖縄に現れる。それぞれの土地で男と出会った人々が織りなすドラマを描いた『怒り』。吉田修一原作、李相日監督のもと、日本映画界を代表するオールスターキャストが揃う本作で、「謙は千葉の漁港で働き、妻亡き後に娘を男手ひとつで育てた男を演じている。

「漁協(漁業協同組合)に勤めている中年のおやじ」という設定なので、まず漁協へリサーチに行って、仕事の見学、体験もさせていただきました。(原作者は)なかなかいいところに目をつけたなと思いましたよ。というのは、漁師って白か黒かなんですよ。自然の中で魚と格闘して、捕れたら金が手に入るし、捕れなかったらスッカラカンになる。賭けみたいなことを毎日しているわけです。捕れないときは漁協でデスクワークをしてね。

洋平はある意味、職種が象徴するかのように、きちっと人生の計画を立てる男ではなくて。娘の愛子との関係もある時点でボタンをかけ違えてしまって、そのことに苛まれているけど、自分で見ないふりをしている。そうやって生きてきてしまった男です。

言ってみれば最後まで、彼は何かを決断したり能動的に動いたりはしないんです。だからこそ、どういうふうに輪郭を作っていくか、すごく難しい役でしたね。でも、僕が「洋平って、こうです」と表現するより、娘との距離感で醸し出していくしかないので。愛子を演じた宮崎あおいちゃんの顔、動向、その時の彼女の心根みたいなものとどうやって同期していくかがメインでしたね。

ーーー宮崎さんはカメラが回っていなくても、ずっと渡辺さんのことを「お父ちゃん」と呼んでいたそうですが、彼女は常に「愛子」でいたということでしょうか?

その辺は微妙で。アイドリングしてたってことですよね。ギアを入れて走ってはいないけど、エンジンは切ってない。でも、僕らにはそれが大事で。映画ですから、機材のセッティングなどの待ち時間にエンジンを切るやり方もあると思うんですよ。

彼女は今までは独りで“自分の世界に籠る”というか、アイドリングじゃなくてバッテリーだけつけてるみたいな、そういう待機の仕方をしてたわけです。でも、僕はもうちょっと親子として、何もしなくてもいいから少しだけ近くにいてほしかったんです。

だから、「取りあえず、こっちにおいで」と言って、みんなが待機してるところに椅子を置いて「ここにいなさい。何をしててもいいから」って。彼女はいつも手芸をしているんです。ちょこちょこ話をしながら、「だよね、あおいちゃん」と話しかけると、「ああ、そうですね」と答える。それは、役ではないんだけど、父親と娘が常にいる距離感を発酵させているみたいなところがありました。

ーーー渡辺さんとしても、どこか父親的な目で女優・宮崎あおいさんを見ている感じだったんでしょうか。

まあ、ちょっとありますね。今回の役を彼女が演じると決めた段階で、今までの仕事から1つステップアップなのか、ハードルが上がるなのか、わからないけど、できるならサポートしてあげたいと思ったし、見届けたいと思ったし。ある意味それをやることでしか、僕らの役が成立しないという感覚もあったので。

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最終更新:9月17日(土)13時0分

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