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巨人・田口麗斗を覚醒させた「ものすごい向上心」と「142勝左腕」

webスポルティーバ 9/17(土) 18:40配信

 表情にはまだあどけなさも残るが、マウンドに立てば大人びたピッチングで打者を翻弄していく。田口麗斗(たぐち・かずと)は広島新庄高からプロ入りし、3年目で2ケタ勝利を挙げた。巨人で高卒3年目以内に10勝以上をマークしたのは、2年目の1987年に15勝を挙げた桑田真澄以来で、ドラフトで指名された高卒左腕で10勝を達成したのは球団史上初のことだった。

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 伝統球団での快挙達成は大々的に報道されたが、本人はざわつく周囲を冷静にかわし、浮かれる様子はまったくない。

「もちろん嬉しいことなんですけど、目標を考えると、もっと上の段階を目指していきたいです」

 少しだけ笑顔を交えながら、落ち着いた口調で語った田口。「通過点」とまでは言わないが、満足を抱く数字でもないということなのだろう。

 今季、大きくブレイクした田口だが、すでに自分の投球スタイルは持っていた。力みのないフォームから、ストレート、スライダー、チェンジアップを投げ込んでいく。140キロ前後のストレートは球速表示以上に速く感じられ、相手打者を押し込んでいく。

 切れのよさを出すために意識しているのは、リラックスした状態から、いかに全開の力を無駄なく放出させるかということ。田口は言う。

「自分みたいな小さいピッチャー(身長171センチ)には必要なのかなと思います」

 大柄な選手に比べれば、どうしても馬力で劣ってしまう。「100から100の力を継続して出すことは難しい。0から100に近い力を出せるように」と、効率よくエネルギーを指先から球に伝えるために、ずっと意識してきたことだ。

 田口にとって幸運だったのは、身近に最高のお手本がいたことだろう。球界を代表する左腕の杉内俊哉だ。杉内も小柄な体ながら、力感のないフォームからストレートで空振りを奪い、三振を積み重ねてきた。

「試合でのピッチングもそうですけど、キャッチボールもほかの選手と比べると独特なやり方でされている」

 全身の力を抜いて山なりの球を投げたかと思えば、次はビュッと投げる。柔と剛を織り交ぜながら投げる姿に、「フォームを確立する上で、そういうやり方もあるんだというところもあった。何度かマネしたこともあります」と、練習中から先輩左腕を目で追い、参考にし、盗んできた。

 そうして磨いてきた技術をコンスタントに出せるように体調面を整えたことが、今季の躍進の大きな要因だ。夏場を迎えてもパフォーマンスが低下することはなく、「元気な状態が続いているのがいちばん。コンディショニングがしっかりできているというのが、自分のなかにあります」と手応えを口にした。

 シーズン前から、1年間先発を守り抜くことを目標に置き、自らを律してきた。大事にしたのは、基本の部分。「スポーツ選手として必要なこと」と、質のいい睡眠、バランスのいい食事、十分な休養を心掛けてきた。

 特に気を遣ったのが食事面。食べたものを携帯の写真に撮り、トレーニングコーチに送って助言をもらっている。「昨年もやらなきゃいけないと思っていたけど、なかなか取り組むことができなかった。ここ最近、できるようになってきた」と、ローテーションピッチャーとしての自覚が習慣を変えた。

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最終更新:9/17(土) 18:40

webスポルティーバ

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