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男女平等を訴える女優パトリシア・アーケットの映像作品 iTunesで公開

Forbes JAPAN 9/17(土) 11:00配信

2015年、映画「6才のボクが、大人になるまで。」での米アカデミー賞助演女優賞受賞スピーチにおいて男女間の賃金平等を掲げたパトリシア・アーケットは、一夜にして男女同一賃金運動の顔になった。だが、彼女が活動家としてのキャリアを始めたのはそれよりもっと前のことだ。



「自分が初めて就いた仕事が、家族計画の啓蒙活動や保健医療サービスを行うNPO、Planned Parenthoodだった」とアーケットは振り返る。ハイチ地震が起きた2010年には、発展途上国でエコロジカル・サニテーション(し尿を資源として活用し、衛生改善と資源循環を目指す技術)を推進するNPO「GiveLove」を立ち上げた。

受賞スピーチが波紋を呼ぶことは予想していた。「(授賞式の壇上では)政治的な発言をすべきではないという暗黙のルールがある」とアーケットは言う。そしてその日以来、アーケットの活動は加速し続けている。今年4月に男女間の賃金格差に関する議会報告書が発表された際には、同報告書をまとめたキャロリン・マロニー下院議員とともにテレビに出演しその内容を訴えた。また、9月6日に米iTunesと米アマゾンで配信開始されたドキュメンタリー「Equal Means Equal」の製作総指揮も務めている。

同ドキュメンタリーは、アーケットの長年の友人である女優/活動家で過去に史上初の女性下院議員ジャネット・ランキンの伝記映画も撮っているカマラ・ロペスの監督作品。ロペスの7年にわたるジェンダー不平等問題に関する取材をまとめたもので、アーケットや、女性解放運動の第一人者であるグロリア・スタイネムス、前述のマロニーをはじめとする女性100人以上が登場し、性と生殖の権利からマタニティー・ハラスメント、女性刑務所までさまざまなテーマを語る。

11月米大統領本選は重要

トランプ候補には「恐怖を覚える」

その中で核となるのが、マロニーが共同提案者に名を連ねる「ERA(Equal Rights Amendment=男女平等憲法修正条項)批准法案」の重要性だ。ERAは性差によって権利の平等が侵害されないことを求めた合衆国憲法に対する修正条項で、1972年に連邦議会を通過したが、1982年の批准期限までに憲法修正に必要な50州中38州の批准をわずか3票の差で得ることができず、不成立に終わった。「(男女の平等に関する権利は)連邦による保護が必要なの」とアーケットは言う。

明るい兆しもある。今年、ホワイトハウスが同一賃金の実現に対する誓約(White House Equal Pay Pledge)を提案し、アップル、フェイスブック、ターゲット、CVSヘルスなど多大な影響力を持つ大企業が署名した。アーケットは「多くの企業が署名した一方で、拒否する企業も少なくない。私たちはそのような法的保護がない分野をケアしなければいけない」と話す。

11月の米大統領選本選に向けて、アーケットは有権者に候補者たちの賃金公正法(Paycheck fairness Act)に対する姿勢をチェックするよう呼びかけている。これまで4度にわたって共和党議員に否決されてきた同法案は、男女間の賃金格差の是正を目指すものであり、同一賃金法(Equal Pay Act)強化への重要な一歩となるからだ。

アーケット自身はヒラリー・クリントンの支援者だ。ドナルド・トランプが共和党候補に指名されたことについて「恐怖を覚える」と言う。その理由は、トランプが女性の権利問題を無視し、性差別的な発言を繰り返すからだけではない。

「科学を信じない人が大統領候補になることがショッキングなの。気候変動の問題一つとっても、私が生きている間は大丈夫かもしれないけど、子どもや孫の世代はどうなるのか? そんなことを考えない人がアメリカをグレートになんてできるわけがない」

Clare O'Connor

最終更新:9/17(土) 11:00

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