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真田丸、沈まぬ太陽…NHKとWOWOWだけが圧倒的に面白い理由 民放は壊滅状態なのに…

現代ビジネス 9月17日(土)18時1分配信

 「大人が鑑賞できるドラマがない」という理由で、地上波のドラマはNHKしか見ないという人が多くなった。ドラマ好きはWOWOWのドラマをチェックしている。なぜそうなるか、理由がある。

実は民放より自由なNHK

 夏クールの民放の連ドラは壊滅状態だ。視聴率10%台をキープしているのは、北川景子主演の『家売るオンナ』(日本テレビ系)だけである。

 一方で、NHKのドラマは好調が続いている。

 大河ドラマ『真田丸』は五輪開催期間中も視聴率15%前後を維持。それだけでなく、『真田丸』は一刻も早く見たいという熱心な視聴者が2時間早く放送されるBSで視聴。その視聴率はBSでは驚異的な5%台を記録し、ドラマの舞台である上田市や和歌山県九度山までファンが詰めかけている。

 「『真田丸』は腹に一物ある男たちを描いていて、ジェームス三木氏が描いた往年の大河を思い出します。10数年前なら視聴率は毎回25%以上でしょう」(テレビコラムニスト・今井舞氏)

 なぜこのように差がつくのか。そこには、ドラマ作りにおける、「根本的な姿勢の違い」がある。

 『真田丸』や朝ドラ『とと姉ちゃん』では物語の鍵となる脇役を無名の役者が演じて話題を集める。だが民放ではそれがない。民放テレビ局の制作スタッフはこう悔しがる。

 「私たちも日頃からNHKと同じように中小規模の演劇や映画をチェックしているんです。でも目ぼしい役者さんがいても、なかなか重要な脇役に起用することができません。知名度の低い俳優を抜擢して低視聴率に終われば、スポンサーサイドから責められますからね」

 民放大手のドラマは、視聴者ではなくスポンサーを向いて作られている。

 「ドラマ内で、『電波が悪くてケータイが繋がらないので連絡ができない』という設定は絶対に使えません」(前出・スタッフ)

 さらに近年はクレームを恐れて、過剰に自己規制しているという。

 テレビドラマに詳しい脚本家の柏田道夫氏はこう指摘する。

 「たとえば、今のドラマでは、ヤクザを昔のように仁義を重んじる存在としては描けない。入れ墨を映すことにNGが出ることがあります。もう遠山の金さんの桜吹雪のシーンすら作れないのです。

 同様に障害者や動物などの描き方が難しくなっています。『近親愛』もNG。また、時代劇でも武士は本妻を一番愛していなくてはいけないといった『正しい』設定が求められます。その結果、常に無難なキャラクターになってしまうわけです」

 視聴者から抗議が殺到すれば、その番組スポンサーのイメージにも傷がつく。そんな事態を避けることが最優先なのだ。

 また、NHKは3年がかりで完結する大作『坂の上の雲』や『精霊の守り人』を、有料放送のWOWOWは全20話の『沈まぬ太陽』を制作している。だが、民放の連ドラは、3ヵ月クールで全10話の枠に固執する。これもスポンサーのためだ。

 「企業側が春夏秋冬で宣伝戦略を考えているので、テレビ局側の都合で変えるわけにはいかないんです」(前出・スタッフ)

 民放のテレビドラマにはあまりに制約が多い。

 テレビドラマ研究家・古崎康成氏が指摘する。

 「一番端的なのは、番組で流れるクレジットの多さ。制作現場ではない人の名も多く表示されています。そのため、いろんな意見が出ますから、船頭多くして船山に登るということになる。その点、NHKやWOWOWのクレジットは少ない」

 NHKのドラマの転換点について、ドラマ評論家の黒田昭彦氏が語る。

 「'04年に紅白歌合戦の担当プロデューサーによる制作費不正支出事件が発覚して、受信料不払いが増えてしまい、NHKは危機感を持ったんです。

 幅広い世代に受け入れられるため、『娯楽番組を充実させる』ことを重視し予算もかけるようになり、NHKのドラマは明らかに変わりました。'07年に異色作『ハゲタカ』があり、大きな分岐点は'08年に大河ドラマ『篤姫』で史上最年少、しかも女優の宮崎あおいを抜擢したこと。これは大冒険でした」

 '08年前後からNHKのドラマへの意識は大きく変わったという。

 「かつては民放のほうに、『NHKはお役所だから、自由に撮れないだろ? と言われたものですが、今は逆転しているのかもしれません。我々も視聴率は物凄く気にしていますよ。視聴者が何を求めているかを知るために」(NHK局員)

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最終更新:9月17日(土)18時1分

現代ビジネス

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