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役所が教えてくれない「年金のホント」~何歳から受給するのがお得? 人生100年時代、大損しないために

現代ビジネス 9月17日(土)11時31分配信

 65歳でもらうより、額が1・4倍に。長生きする自信のある人たちはいま、70になってからもらうのがトレンド

 「老後はゆったり年金暮らしで」……。かつてはそんな言葉も聞かれたが、いまや夢のまた夢だ。長寿時代に20年、30年と続く老後の支え、年金。深く考えず受け取り始めると、大損してしまう!? 

待てば待つほど額は増える

 男女ともに、平均寿命が80歳を突破した長寿大国・日本。いまや85歳、90歳まで生きることもまったく珍しくなくなっている。

 本来はよろこばしいはずの長寿。だが「まさか自分がこんなに長生きするとは思わなかった」と戸惑いに似た思いを口にする人もいる。なぜか。

 長年働いて、ようやく手に入れたマイホームのせいで、固定資産税はいつまでも取られ続ける。病気をするたびに薬が増えて、医療費がかさむ。ぜいたくなど何もしていないのに、蓄えはどんどん減っていく。しかも年金は思ったほど生活を支えてはくれない―。

 「とりわけ自営業だった方や専業主婦の方などは、老後の収入が国民年金だけになり、月あたり6万5000円の満額をもらっても、とてもそれだけで生活できるものではないでしょう」(年金事情に詳しいFPの長尾義弘氏)

 60代で定年を迎えてからは、現役時代にコツコツと積み上げてきた貯蓄と年金でのんびり暮らそう。そんな余生のイメージは、もはや崩れた。85歳、90歳まで生きるとすれば、65歳から考えても、まだ20年、25年の生活費が必要になる。

 20年と言えば、オギャアと生まれた赤ん坊が立派な成人になる期間だ。それほどの長期にわたって、足腰が弱り、病気にもなりがちな老骨に鞭打ちながら、収入と支出のバランスに注意を払って生き抜かなければならない。それが、65歳以上の日本国民が今後、直面していく現実なのだ。

 何とかして、リタイア世代になったあとの収入を確保し、生活を楽にすることはできないか。

 一つの対策としては、賃金が現役時代より下がるとは言え、60歳以降も働き続けるという方法があるだろう。'17年1月からは、従来、雇用保険に加入できなかった65歳以上の人も加入が可能となり、職業訓練や失業手当など各種の支援も受けられるようになる。

 だが、いまもう一つの方法として、「少し頑張れば誰でもできる、年金増額法」がにわかに注目を集め、年金の専門家の間でのトレンドとなっているという。

 それが、本来は65歳からもらえる年金を、70歳から受給する「繰り下げ受給」という方法だ。いったい、どのような制度なのか。社会保険労務士(社労士)でCFP(認定ファイナンシャルプランナー)でもある和田雅彦氏は、こう解説する。

 「現在では、経過的な措置として60歳から厚生年金を受け取っている人はいますが、基本的に老齢基礎年金(国民年金)や老齢厚生年金が受け取れるのは、65歳になってからです。

 年金の繰り下げ受給とは、この年金の支給開始を遅らせる制度です。

 年金は受給資格を得たあと、年金を受け取る人自身が請求をしないと支給が開始されませんから、繰り下げ受給をしたい場合は、手続きをせず、受け取り時まで請求をしなければいいのです」

 本来、65歳からもらえるものを、あえて遅らせることに、どんなメリットがあるのだろうか。

 実は、国民年金、厚生年金のいずれも、支給開始を1ヵ月遅らせるごとに、支給額が0・7%増額される。

 たとえば、1年間(12ヵ月)の繰り下げを行って、66歳から年金を受け取った場合、受け取る金額は、0・7×12=8・4%増となり、一生増額された年金を受け取ることができるのだ。前出の和田氏は、こう話す。

 「繰り下げは制度上、66歳以降何歳まででも行うことができますが、増額は最大で5年分まで。70歳まで繰り下げた場合の5年=60ヵ月分、42%増で頭打ちとなります」

 以後の増額はないため、70歳以降も繰り下げを行っても年金が受け取れず、損をするだけだ。

 ちなみに、現在経過的な措置として導入されている、60代前半の人に支給される老齢厚生年金の特別支給分(報酬比例部分)については、繰り下げ受給はできない。

 ただ、すでに特別支給分を受け取り始めてしまった人でも、65歳であらためて本来の国民年金・厚生年金の受給の請求を行う必要がある。

 「この請求を先延ばしにしておけば、繰り下げ受給を行うことができるので、年金の特別支給分をもらい始めてしまったからといって慌てる必要はありません」(和田氏)

 最大で42%も増額されるという年金。気力と体力に自信があれば、65歳からの5年間は働いて年金を当てにせず生活し、70歳から増額された年金を受け取ろう―。そう考える人が、いま急増しているというのだ。

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最終更新:9月17日(土)11時31分

現代ビジネス

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