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いよいよ始まる職場の「ストレスチェック制度」、効果がなくても受診すべき理由とは?

HARBOR BUSINESS Online 9/17(土) 16:20配信

 昨年12月、心の健康診断とも言える「ストレスチェック制度」が始まりました。この制度は職場のメンタルヘルス対策のセルフケアの強化・徹底と、職場環境の改善を目的とされています。

⇒【資料】「ストレスチェック制度」の流れ

 関係者たちからは新制度に対し、さまざまな期待や不安が寄せられています。会社側は「メンタルヘルス不調者の減少につながるのではないか」、従業員側は「自分の結果が会社にバレないのか」と考えているのです。

 今回は実際に年間1000件あまりの産業医面談を行い、働く人のメンタルヘルスの最前線に立っていると自負する産業医として、この新しい制度につて簡単に説明させていただくとともに、働く人たちにどのように活用するといいのかをお話しさせていただきます。

◆「ストレスチェック制度」受診の流れ

 今回のストレスチェック制度は、2つのイベントからなる制度です。高ストレス者を定める「ストレスチェックテスト」と、就業上の措置を必要とする人を判断する「面接指導」です。

 ストレスチェックテストとは、ストレス要因(仕事の量や時間、プレッシャーなど)、周囲のサポート、ストレス症状などの3領域からなる質問に答え、点数をつけ、ある一定以上の得点者を高ストレス者とするものです。

 制度開始に合わせて厚生労働省が標準的な質問として57問からなるストレスチェックテストを公表しています。(※こちらのリンクからも同様のストレスチェックが可能ですhttp://kokoro.mhlw.go.jp/check/)

 では、実際にこの57問に答えることによって、組織のうつ病患者数が減るのかというと、そんなことはありません。そのような医学的データがないことは、厚生労働省も認めています。

 ならば、ストレスチェック制度はやるだけ無意味なのでしょうか。私はそうは思いません。この制度に関して、私には1つだけ分かっていることがあります。

 それは最低、年に1回行われる“からだの健康診断”を受けるとき、誰もが自分のからだの健康について少しは考えるように、新制度によって、年に1回すべての従業員が自分のストレスやメンタルヘルスについて考える“きっかけ”が生まれます。これだけでも大きな進歩だと思うのです。

◆診断結果が会社にバレる可能性は?

 しかし、質問に答えると、その結果内容が会社にバレないのかという心配の声をよく聞きます。その心配が生じる気持ちはわかりますが、産業医として多くの企業と関わっている立場として、その心配は不要だろうと言えます。

 今回、実施されるストレスチェック制度では、受検結果などの情報管理はかなり徹底されており、会社に内容がバレることはありません。安心して、受けて大丈夫でしょう。

 ただし、自分の結果が会社にバレる(正確には開示することに同意する)場合が1つだけありますので、そこだけ注意を要します。

 テストの結果、「高ストレス者」と判定されたものは、本人の希望により2つめのイベントである「面接指導」を受けることが可能です。ただし、厚生労働省の出している指針(ガイドライン)によると、この「面接指導」を希望すると、テスト結果を会社に開示することに同意したとみなされます。

 では、テストの結果、もしもあなたが「高ストレス者」と判定された場合、どうしたらいいのでしょうか?

 ズバリ、お答えします。もしあなたが、「高ストレス者」と判定されたら、結果が会社にバレる面接指導でなくてもいいので、必ず誰かに相談しましょう。

 ストレスチェック制度が義務とされている会社には通常、産業医がいるはずです。ならば、まずは産業医面談を申し込まれてはいかがでしょうか。医者の守秘義務により、あなたの相談内容は会社には開示されないはずです。その際、ご自分で印刷したストレスチェックテストの結果を持参するとなお良いでしょう。

 産業医がいない、会社も産業医も信用できないと感じるのであれば、ご家族でも友人でも、誰か自分の話を聞いてくれる人にお話に行きましょう。

◆誰かに相談することの重要性

 厚生労働省のデータでは、強い不安、悩み、ストレスがあるときに、約9割の人が“相談すること“により、不安が解消したか、少なくとも気が楽になるという結果が出ています。

 念のために申し上げておきますが、この場合の「相談」というのは専門家への相談ではなくて、家族や同僚、友人に話をする、それだけのことです。人は不安や悩み、ストレスを抱えているときに、それを誰かに話すだけで気持ちに整理がついたり、発散したりできますから、相談することの効果はすごく大きいのです。

 話すことによって、自分の頭の中だけで考えているだけよりも、より整理ができます。上手なカウンセラーは、頭の中のこんがらがった紐を解くように、話を聞いてくれます。特にアドバイスを受けていないのに、なぜかカウンセリングの後に頭の中がスッキリしていたり、解決の方向性が見えたりするのはこのためです。話すことによって頭の中が整理されたのです。

 話すことは大切です。だから、話すべき人を決めておきましょう。不調になってからではなく、元気な今のうちから決めておきましょう。

 話を聞いてもらう相手としては、ヘタにアドバイスなどをされるよりは、ただ「うん、うん」と話を聞いてくれる人を見つけるべきでしょう。産業医やカウンセラーはもちろん、友達でもいいので「うん、うん」と聞いてくれる人を、元気なうちに身近なサポーターとして見つけ、いつでも誰かに、相談できる体制を持っていることが大切です。

 年に1回の心の健康診断「ストレスチェック制度」。自分のためにも前向きに、建設的に、利用していただけますと幸いです。

<TEXT/武神健之>

【武神健之】

たけがみ けんじ◯医学博士、産業医、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。20以上のグローバル企業等で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を行い、働く人のココロとカラダの健康管理をサポートしている。著書に『不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣 』(産学社)、共著に『産業医・労働安全衛生担当者のためのストレスチェック制度対策まるわかり』(中外医学社)などがある

◆一般社団法人 日本ストレスチェック協会のホームページとフェイスブック

◆『産業医 武神健之』公式ホームページとフェイスブック

◆『医学博士 武神健之』公式ホームページとYouTube

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:9/17(土) 16:22

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