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LINE参戦で始まる「格安スマホ決戦」の構図

東洋経済オンライン 9月17日(土)8時0分配信

 メッセージアプリ国内首位のLINEが、大手通信会社のインフラを借りて格安スマホを展開する、MVNO事業「LINEモバイル」の全容を9月5日に発表した。ほかの多くの事業者と同様、NTTドコモの回線を借り、10月1日から本格的にサービスを開始する。

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 3月にLINEはMVNO事業へ参入する意思を表明。「今夏に詳細を発表する」としていた。国内6000万人超のユーザー数を誇るLINEが本格参入すれば、ドコモ、KDDI、ソフトバンクの通信大手3社の牙城を崩すのではないか。そんな思惑から注目が集まっていた。

■「初心者向け」と「ヘビーユーザー向け」

 LINEのMVNO子会社であるLINEモバイルが発表したプランは大きく分けて二つ。スマホ初心者向けの「LINEフリー」と、SNSヘビーユーザー向けの「コミュニケーションフリー」である。

 データ通信量にかかわらず、前者はLINEのメッセージアプリと通話が、後者はさらにSNSのフェイスブックやツイッターがそれぞれ使い放題となる。つまり、月間のデータ通信量が契約の上限を超えても、LINEやフェイスブック、ツイッターの通信速度は落ちない仕組みだ。

 LINE取締役CSMO(最高戦略・マーケティング責任者)の舛田淳氏は「2年かけてユーザーを調査した結果、『データ通信量の上限を超えると通信速度が極端に遅くなり、途端にSNSが使えなくなること』への不満があることがわかった。そこで、月の途中で上限を超えても、SNSをいつもどおり使えるようにした」と語る。つまり競合を研究し尽くしたうえでの参入というわけだ。

競合の研究は「通信料金」でも

 通信料金もライバルを意識したもの。ただ、「格安」だが、「最安」ではない。

 料金は初心者向けプランが月額500円から。同じく初心者向けが5500円程度の通信大手3社に比べれば格安だが、MVNOとの比較では、299円と激安のフリーテルなどLINEより安いプランが複数存在する。

 実は、過去1年で契約件数を最も伸ばした業者は、最安の会社ではない。ICT総研の調査によれば、個人向けで最も伸びたのは2014年10月に参入した楽天モバイル。2015年5月時点ではシェア2%にも満たなかったが、今年6月にはトップに躍り出た。

 楽天モバイルの料金は、データ通信専用プランで月額525円から、通話もできるプランで同1250円からである。LINEモバイルはこのプランより少しだけ安い。LINEの舛田氏の“研究”とは、急成長中の楽天モバイルを強く意識したものだった。

■急成長の秘訣は「ポイント」

 それではなぜ、楽天モバイルは大きく伸びたのか。急成長の秘訣はポイントにある。楽天モバイルと契約すると、楽天市場の買い物でもらえるポイントが2倍になり、さらに通信料金をポイントで払えるようになるのである。

 楽天執行役員の大尾嘉(おおおか)宏人氏は「ポイント還元率が他社よりも圧倒的に高い。楽天市場は『7倍セール』など高還元率のセールもざらにある。私自身も今月の料金はすべてポイントで払っている」と強みを説明する。楽天市場で買い物をするほど得をする仕組みが、楽天モバイルの急成長の秘訣なのだ。

 販売網の充実も成長に欠かせない条件だった。楽天モバイルを扱うショップは全国に99店舗(9月14日現在)。レンタル店のゲオに加えて、ケーズデンキなど家電量販店内のショップも目立つ。全国主要都市には、独自の実店舗も13店出している。

 満を持して参入したLINEだが、ユーザーの開拓は簡単ではない。

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最終更新:9月17日(土)8時0分

東洋経済オンライン

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