ここから本文です

【フランス2歩先の旅 その3】欧州最大のコルビュジエ作品 お土産は「香」のショコラ

オーヴォ 9月18日(日)7時0分配信

 旅好きな日本人に“秘境”はない、と形容されるも、筆者が2週間の滞在中、一度も日本人観光客に会わなかったサンテティエンヌ。だが、日本との関係は意外に古く緊密だ。日本の近代化に大きく貢献したフランソワ・コワニエなど、明治政府の多くの“お抱え外国人”は、この町から日本へ渡っており、また、足尾銅山などで活躍した塩野門之助も、この町で鉱山学を学んでいる。そして現代では、デザインや建築の分野にも交流の輪が広がっている。

 前回の連載で巡った、テキスタイルや武器、自転車など、サンテティエンヌのマニュファクチャーの歴史は、産業革命の頃には、鉱山中心にシフトしていく。日仏交流の拠点となったのは、ローヌアルプ地方で最も古い国立高等教育機関である「ミンヌ・サンテティエンヌ」。王政復古期のルイ18世が1816年に創立、現在は数学やコンピューターサイエンス、物理などを学ぶ理系グランゼコールの一つになっている。バカロレア取得後、プレパと呼ばれる2年間の準備学級に進んだ学生だけが受験を許される高等教育機関だ。現在でも、プレパに進学できる学生自体、同世代の5%にあたるわずか3万7千人だが、そのうち100人前後のみが入学できる難関校の一つで、今年は創立200周年を迎えて、記念切手が出るほどの祝賀の年になっている。

 明治維新後、多くのフランス人がこの地方から日本へ渡った。日本の近代化に尽力したコワニエもこのグランゼコールの出身だ。日仏の知の交流を紡いできたこの町は、近年では、ユネスコの「デザイン都市」に認定され、「国際デザインビエンナーレ」を隔年開催。日本からの参加者と交流が続いている。その会場の一つが前回紹介した産業芸術美術館、そしてモネやピカソなど、20世紀の作品を中心に1万9千点に及ぶコレクションを所蔵する現代美術館だ。

 所蔵数が多く、すべてを展示できないため、時期をずらして何度も訪れないと作品をすべて見ることは叶わない。現在の特別展示は、20~21世紀のアートを見つめなおす “現代考古学”と、アンヌとパトリック・ポワリエ夫妻の「危険地帯」。後者は、考古学と建築へのアーティストの関心が、未来から見る「破壊された現代の町」の表現に凝縮され、テロをはじめとするさまざまな不安に揺れる今のフランスの緊張した空気が、くしくも重なって見える。

 建築に関心のある人にとっては、ル・コルビュジエの複合建築がこの町の魅力かもしれない。日本で、さらにアジアで唯一のコルビュジエ作品である国立西洋美術館が、大陸をまたいだ世界遺産(トランス・コンチネンタル・サイト)の一つとして認定され、改めて彼の建築作品に注目が集まっているが、欧州に現存するコルビュジエの作品では、サンテティエンヌのフィルミニにあるこの建築群が最大規模だ。

 広大な敷地に建つ「シテ・デュ・デザイン」も見どころ。壁もドアもない6000平方メートルのプラティーヌと呼ばれる建物での企画展示などもあり、市民にとっても憩いの場だ。

 サンテティエンヌの日本との関係は、この町で買うショコラにもつながっている。フランス国家最優秀職人(MOF)の称号を持つジャン・ジャック・ボルヌさんの、店の名前は「香」(Kaori)。日本に大きな影響を受けたという彼の店では、この時期、柚子のアイスなども買える。お土産には、さまざまなナッツやドライフルーツを混ぜ込んだショコラがおすすめ。好きなだけ割って自分で詰め合わせを作ることができる。

最終更新:9月18日(日)7時0分

オーヴォ

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

暗闇で光るサメと驚くほど美しい海洋生物たち
波のほんの数メートル下で、海洋生物学者であり、ナショナルジオグラフィックのエクスプローラーかつ写真家のデビッド・グルーバーは、素晴らしいものを発見しました。海の薄暗い青い光の中で様々な色の蛍光を発する驚くべき新しい海洋生物たちです。彼と一緒に生体蛍光のサメ、タツノオトシゴ、ウミガメ、その他の海洋生物を探し求める旅に出て、この光る生物たちがどのように私たちの脳への新たな理解を明らかにしたのかを探りましょう。 [new]