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学校不祥事の顛末-給食中のアレルギー事故で女子児童が死亡-(2)

教員養成セミナー 9/18(日) 11:00配信

かけがえのない命を守るために 学校と教職員に求められること

【今月の事例】
 A県教育委員会は、B市の小学5年の女子児童が給食を食べた後、アレルギー症状を起こして死亡した事故で、当時の担任だった男性教諭(29)を同日付で停職1カ月、校長(57)を戒告の懲戒処分とした。県教委によると、死亡した児童が給食のおかわりを申し出た際、担任は児童がアレルギー症状を引き起こす食品かどうか確認を怠り、校長も教諭への指導監督を徹底していなかったという。
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■ 教えるプロ意識の欠如

 食物アレルギーを有する児童生徒への対応は、日々の健康管理を行う学級担任や養護教諭はもとより、教職員全員で共通理解を図り、校内体制等を確立していく必要があります。具体的には、以下のような取り組みが求められます。


■ 食物アレルギーを有する児童生徒の把握と対応

 食物アレルギーを有する児童生徒の情報を正確に把握するため、希望する保護者に「学校生活管理指導表(アレルギー疾患用)」を提出してもらいます。学校はこれを参考にしながら、保護者や主治医、学校医等と相談しながら、適切に対応していくことが求められます。

 食物アレルギーへの対応は、あくまでも医師の診断と指示に基づいて行う必要があります。管理指導表については個人情報の取扱いに十分留意しつつ、緊急時には教職員がすぐに見られるような形で管理することが大切です。


■緊急時の対応

 「アナフィラキシー」とは、アレルギー反応により、じんましんや腹痛や嘔吐、呼吸困難などの症状が、同時にかつ急激に出現する状態のことです。児童生徒に起きるアナフィラキシーの大半は、食物に起因するものです。

 症状が重篤で、意識障害などが見られる場合は、足を頭より高く上げた体位で寝かせ、嘔吐に備えて顔を横向きにします。そして、意識や呼吸、心拍、皮膚の色などの状態を確認しながら、必要に応じて1次救命措置を行い、医療機関への搬送を急ぎます。

 「エピペン(アドレナリン自己注射薬)」がある場合は、なるべく早期に注射するのが効果的です。そのためにも、教職員全員が「エピペン」に関する一般的知識と使用方法などを共有し、「アナフィラキシー」に対して“いつでも”“誰でも”適切に対応できるようにしておく必要があります。


■学級担任としての対応

 担任は、誤食事故等が起きないよう、献立内容の確認、給食当番の役割確認、配膳時の注意、おかわり等への注意、片付け時の注意などについて、確認作業等が形骸化しないようにする必要があります。日常的に、健康診断記録、学校生活管理指導表、保護者からの事前調査票、個別面接や個別指導の記録を確認し、対象となる児童生徒の健康状態を把握することも大切です。また、食物アレルギーを有する児童生徒に対して、児童生徒自身で誤食のないよう判断できる能力を育成していくことも大切です。


■遠足や宿泊を伴う校外活動等における対応

 特に注意が必要なのは、遠足や宿泊を伴う校外行事です。事前に見学場所や宿泊先と情報交換を行い、食事面での配慮を依頼する必要があります。校外での活動は、普段の授業に比べて学級担任等の目が十分に届きにくい側面があります。そのため、参加する教職員全員が、食物アレルギーを有する児童生徒の状況や緊急体制について共通理解を図っておくことも大切です。教師を目指す皆さんは、かけがえのない子供の命を預かるわけで、そのことを肝に銘じてください。


※「教員養成セミナー2016年10月号」より

濱本 一(共栄大学教授/前埼玉県教育局市町村支援部長)

最終更新:9/18(日) 11:00

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