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社長を使い倒せ! 南場智子『不格好経営』にみる DeNAのワクワクする現場

NIKKEI STYLE 9月18日(日)10時30分配信

 国内で1日に刊行される新刊書籍は約300冊にのぼる。書籍の洪水の中で、「読む価値がある本」は何か。書籍づくりの第一線に立つ日本経済新聞出版社の若手編集者が、同世代の20代リーダーに今読んでほしい自社刊行本の「イチオシ」を紹介するコラム「若手リーダーに贈る教科書」。今回の書籍はディー・エヌ・エー(DeNA)を設立し、現在は会長の南場智子さんの自伝だ。読者に語りかけるようなフランクな筆致が印象的な一冊で、2013年の刊行以来、累計部数は12万部を超えるロングセラーだ。

◇   ◇   ◇

 著者は1986年に津田塾大学を卒業してマッキンゼー・アンド・カンパニーに入社。90年には米ハーバード・ビジネス・スクールで経営学修士(MBA)を取得し、96年にはマッキンゼーで役員級のパートナーに就任します。99年に退職してDeNAを設立、2005年には東証マザースへの上場を果たしました。その後、病気療養中の夫の看病に力を注ぐため、社長を退任しました。本書は著者が自らの「だれか遠い他人の仕業と思いたいほど恥ずかしい失敗の経験」とそこから得た学びを詳細につづったものです。

■病気が教えてくれた「生きる喜び」

 私たち日本人は自分のことは自分でやりなさい、人に迷惑をかけないようにしなさい、と言われて育つ。でもそんなことは全部かなぐり捨てて生きることに固執し、悪あがきをし、いろんな人に支えられて踏ん張った夫のこの2年間は、迷惑をかけない生き方よりも人間としてはるかにしっくりくるように感じることがある。
(192ページ 第六章 退任より)

 マッキンゼーに勤め、起業し、その会社の経営が軌道にのった後の11年の4月末、著者の夫にがんが告知されました。「子どもに恵まれなかったふたりは、あまり家庭らしさのない夫婦で、互いに仕事を最優先にそれぞれ勝手にやってきた」と振り返ります。2人とも毎日、深夜遅くに帰宅し、倒れるように眠り込んでしまうため、会話を交わす時間もあまりなかったようです。しかし、「掃除もしない、料理もしない、仕事ばかりする妻を、面白がって放っておいてくれた」夫が病に倒れます。

 この出来事で、著者の優先順位が仕事から夫の看病へと変わり、結果として社長を退任することを決意します。幸いなことにその後、奇跡的にがんは完治します。がんという経験は、今までに経験したことのない悲しみや苦しみを著者に突き付けましたが、同時にセミの声や満月を楽しむなど、小さな生きる喜びを学んだといいます。

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最終更新:9月18日(日)12時0分

NIKKEI STYLE

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