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国枝慎吾が最後に見せた意地。銅メダルから始まる東京への道

webスポルティーバ 9/18(日) 14:00配信

 国枝慎吾(ユニクロ)のリオパラリンピックが終わった。銅メダルを首にかけた国枝は、静かにこう語った。

【写真】5月の国別対抗選手権で復帰していた国枝慎吾

「この銅メダルで、報われた」

 パラリンピック2連覇中の車いすテニス界の顔と言える国枝。だが、今季は右ひじのケガの影響でランキングを落とした。リオではシングルスの第6シード。「チャレンジャー」として臨んだパラリンピックだった。ギリギリまで調整を重ね、何とか大会に間に合わせたが、ベスト8で力尽きた。

 大会前に自身も不安視していたのは、試合勘だった。今年に入って出場した大会数は、優勝したゴードン・リード(イギリス)が13、第1シードのステファン・ウデ(フランス)が15なのに対して、国枝はわずか5大会のみ。

「いろんなものの嗅覚が衰えていた」と丸山弘道コーチが危惧していたように、準々決勝のヨアキム・ジェラード(ベルギー)戦では、ショットのコースが単調になり、ボールコントロールが浅くなったところを強打で突かれるなど精彩を欠いた。格下相手だった2回戦、3回戦でも、振り切りの弱さに首をひねっていた。すぐに練習で修正を試みたが、最後まで感覚は戻らなかった。

 ちょうど1年前の9月、国枝は全米オープンで優勝し、自身5度目の年間グランドスラムを達成。ロンドンからの3年半は、今までにないくらい充実していた。それが、最後の半年で崩れてしまった。「去年にパラリンピックがあれば、と何度も思った」と、国枝は声を絞り出す。

 そんな国枝が、リオで最後にプライドをかけて戦った試合があった。男子ダブルスの3位決定戦だ。齋田悟司(シグマクシス)とペアを組み、日本の後輩、三木拓也(トヨタ自動車)・眞田卓(さなだ たかし/フリー)組と対戦した。

 三木・眞田組が強打で押してくるのに対し、国枝と齋田はロブを上げ、確実につなぐテニスを選択した。コートの横も後ろも広くとられたセンターコートでは、齋田の高い守備力がより生きるからだ。ただ、国枝も齋田も本来は攻撃的な選手。守りに徹するテニスは「やりたくないプレー」というところが本音である。だが、ここはパラリンピック。「内容よりも、勝つか負けるかを大事にした」

 その言葉通り、ラリーに持ち込み、ボールが高く跳ねるショットで相手のミスを誘った。ベテランペアの経験が光る、勝ちに徹した試合だった。

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最終更新:9/18(日) 14:00

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