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世界に広がるポピュリズムと強権政治

Japan In-depth 9月18日(日)18時0分配信

トルコのエルドアン大統領、フィリピンのドゥテルテ大統領、中国の習近平主席――など、このところポピュリズム、大衆人気をバックにしながら強権政治をふるう人物が国際社会で目立っている。

もしアメリカのトランプ氏が新大統領に当選したら、さらにその流れが強まるのだろうか。

トルコのエルドアン大統領は7月に軍の一部のクーデターを察知し未然に防いだ。この時、驚かせたのは市民たちが戦車の前に立ちはだかり阻止の一役を担ったことだ。エルドアン大統領はトルコの政治原則ともいわれる宗教色を持ち込まない世俗主義(アタチュルク原則)を徐々に薄めイスラム色を持ち込んでいた。これに反発する中立色の軍部がクーデターを起こしたのだが、経済を成長させイスラム色をにじませて国の国際的存在感を強めているエルドアン人気が世俗主義を押しやっていたようだ。このクーデターで軍人、警官、公務員ら約6万人を拘束、解雇し、オスマントルコ帝国の復活を叫ぶ声も多かったという。

フィリピンのドゥテルテ大統領はオバマ大統領を侮辱する発言で首脳会談がキャンセルとなり、また数百人の麻薬常習者、密売人を処刑したとして人気者になった。また習近平国家主席は再び腐敗汚職摘発に乗り出し、陸軍のトップ、国営企業幹部を拘束して汚職一掃と軍区の改編に乗り出す荒療治にとりかかって人気を得て李克強首相の存在感を消している。最近は直轄市の天津市のトップも解雇した。

冷戦時代の強権政治は、アメリカとソ連をバックに強硬で、出鱈目な拘束政治を行ない、市民を恐怖に陥れて統治をはかったが、冷戦が終了するとさすがに一部の国(北朝鮮など)を除いて無茶はできなくなった。代わりとして登場しているのがポピュリズム(大衆翼賛)で国民を味方に引き入れ政敵を倒す手法だろう。習近平の汚職摘発、プーチンの大ロシア帝国復活構想、ドゥテルテの麻薬摘発やアメリカ批判、欧州各国にブームを呼んでいるナショナリズムと移民排斥など、いずれも国民に心地よい言葉や行動で示し、大衆を味方につけることで求心力を増しているといえる。

エリートには評判は悪いものの、まだ人気を保っているアメリカのトランプも大衆心理をくすぐる発言や暴言がアメリカ国民の心を刺激し、人気となっているのだろう。ヒラリー・クリントンは真面目で安心はできるものの、夫婦が大統領になることはアメリカの開拓者の精神にそぐわないし、ヒラリーの発言はエリート臭く面白くない点がもうひとつ爆発的な人気にならない由縁だろう。

安倍首相は、リオ五輪でマリオに扮装したり、時々ジョークを飛ばしたりするが、大衆的人気を獲得するほどではない。しかし、海外に数十回も飛び外交面では頑張っている印象を与えており、好感度は決して悪くない。問題は経済政策で、アベノミクスの賞味期限は、ほぼ切れかけている。いつまでも黒田日銀に頼らず、国民が安心し、興奮できるような経済政策を打ち出す時期にきているのではないか。このままだと世界のポピュリズムの渦と同じだと思われそうな気配がする。

嶌信彦(ジャーナリスト)

最終更新:9月18日(日)18時0分

Japan In-depth

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