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「あきらめない男」が殴り勝って3階級制覇。その名は、長谷川穂積

webスポルティーバ 9/18(日) 19:50配信

 長谷川穂積は、死に場所を探し彷徨(さまよ)っているように見えた。

 2011年4月、WBC世界フェザー級王座から陥落。2014年4月、IBF世界スーパーバンタム級のベルトに挑み、壮絶なTKO負け。翌年1月に現役続行を宣言し、同年5月に再起戦で判定勝ちするも、そこに往年の輝きはなかった。

 その試合、たしかに右足首じん帯断裂の影響や左ひじに痛みを抱え、満身創痍ではあった。それでも、全盛期の面影すらない姿に、ボクシングを“続けたい“のではなく、“辞められない“のではないか、そう思えてならなかった。ここではないどこか、自身の死に場所を求めて――。

 復帰2戦目となった2015年12月、WBO世界スーパーフェザー級5位のカルロス・ルイス(メキシコ)とのスーパーフェザー級10回戦。取材ノートに、この試合の走り書きが残っている。

「5R 被弾 セコンド タオル」

 長谷川は、3Rにもダウンを喫していた。5Rのダウンでセコンドは、タオルを投げ込もうとする。それを別のセコンドが必死に止めた。その後、立ち上がった長谷川に対し、セコンドからは何度も、「楽しんで!」との声が飛ぶ。それは言外に、「この試合が最後なのだから」という意味合いを含んでいるように思えた。試合中、長谷川がクリンチするたびに巻き起こる拍手は、観客からの「今日までよくがんばった」という労(ねぎら)いのようですらあった。

 この試合、長谷川の判定勝ち。勝利者インタビューで、「素晴らしい勝利でした! 次につながりますね!」とハイテンションのリングアナ。淡々と、「劣化したんじゃないですか」と自嘲気味に語る長谷川。両者の温度差に、どこまでも噛み合わないインタビューが続いた。

 肩を落とし、リングを降りる長谷川。いったい勝者は誰なのか? この試合が、現役最後の試合になるかもしれないと思えてならなかった。

 だが、長谷川はふたたびリングに立った。

 今年7月、WBC世界スーパーバンタム級王者のウーゴ・ルイス(メキシコ)への挑戦が決定。長谷川は、「ラストチャレンジだと思っている。悔いのない試合、最後、笑って終われるようなボクシングをしたい」と会見で語る。そして、キャリアで初めて公言した。

「負けたら引退」

 チャンピオンベルトをかけた、この試合こそが、かつて10度の防衛に成功した英雄の死に場所にふさわしく思えた。

 それを多くのファンも察知したのか、チケットは即刻完売。プログラム的には山中慎介の防衛戦がメインイベントだが、心のなかでは長谷川のラストダンスをメインに据え、会場を訪れたファンも多かったはず。

 9月16日、エディオンアリーナ大阪。詰めかけた観客は、満員の6500人。大歓声に包まれ、ラストダンスのゴングは鳴った。

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最終更新:9/18(日) 19:50

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