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家を買うタイミングは、値段が安いとき? 人生で必要なとき?

プレジデント 9月18日(日)6時15分配信

■特定の年代が住宅を高値づかみしている

 戦後の日本では、1950年代から90年代初めまで地価はずっと右肩上がりが続き、逆に90年代初めのバブル崩壊後は、首都圏で10年以上、地方では20年以上も下がり続けました。

 しかし2000年代に入ると東京都心を中心に地価の反転上昇が見られるなど、「上がることもあれば下がることもある」という、ごく当たり前の資産になってきました。

 ここで押さえておきたいのは、「不動産価格の上昇と下落には、一定の周期性(マーケット・サイクル)がある」という事実です。

 日本の地価の対前年比の増減率を追ってみると、60年代初めの高度成長期、74年前後の列島改造論ブーム、80年代末のバブル期、そして05年前後と、右肩上がりで上昇していた時期を含め、ほぼ15年周期で4回の地価上昇率のピークが見られます。

 一方、住宅の購入は、主に各人のライフサイクルに合わせて行われます。

 多くの人は20代後半から30代半ばにかけて家庭を持ち、子供が生まれたら「そろそろ自宅を買おうか」と考え始めます。最近は40代で家を買う人も増えていますが、定年までに住宅ローンの返済を終えようと考えると、40代前半が限界です。従って32~33歳から40代前半あたりが「住宅購入適齢期」となってきます。

 不動産マーケットにサイクルがある中で、家を買う年齢がほぼ一定であるということは、「特定の世代が住宅を高値づかみしている」ことを意味します。不動産バブルのピークには、主に1950年代生まれの世代が持ち家を購入していますが、この世代の人たちはその後のバブル崩壊によって住宅価格が暴落、大損する結果になりました。

 それは自分のライフサイクルのみを考え、不動産マーケットのサイクルが念頭になかった結果だといえます。

 住宅購入適齢期にある人は、ライフサイクルの近い同僚や友人たちが、次々と家を買う姿を見ることになります。その中で不動産価格がぐんぐん上がっていれば、「自分も早く買わなければ」と焦ることになりがちです。しかし、そこで冷静になるべきです。

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マーケット・サイクルを活かした住宅の購入

 先に挙げた住宅購入適齢期には、10年ほどの幅があります。この幅の範囲内で、不動産マーケット・サイクルの価格のピークを避けて、家を買えばいいのです。ほんの2、3年の購入時期の違いが、金額的には数千万円単位という非常に大きな差となります(図参照)。老後の生活資金を考えたとき、この差は非常に重要です。

 今後もマーケット・サイクルが過去と同様の周期で動くとは限りませんが、当面は上昇基調を続けるでしょう。でも後々後悔しないためには、自分の生活上の必要性だけに囚われず、「不動産価格にはサイクルがあり、上がってもやがてまた下がる」ことを念頭に置きつつ、焦らず買いどきを見極めるべきです。

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宮城大学 事業構想学部教授 田邉信之(たなべ・のぶゆき)
1980年京都大学法学部卒業、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。不動産金融関連業務に従事。2009年より現職。金融・ファイナンス、不動産投資・証券化が専門。著書に『豊かな人生を築くための不動産との付き合い方』ほか。
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宮城大学 事業構想学部教授 田邉信之 構成=久保田正志 撮影=石橋素幸

最終更新:9月18日(日)6時15分

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