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日本映画に革命を起こした『犬神家の一族』はここがスゴかった 湖から飛び出した足、不気味なマスク…

現代ビジネス 9月18日(日)13時1分配信

 モダンな映像、衝撃的なマスク、斬新な宣伝――何もかもが新しかった。時代を変えた作品は、いかにして生まれ、どんな哲学を持っていたのか。

 角川映画の生みの親・角川春樹氏、『犬神家の一族』で助監督をつとめた浅田英一氏、そして角川映画に詳しい評論家・中川右介氏の3人が、あの名作を振り返る。

みんなマネしたあのシーン

 中川右介 角川映画がスタートして今年で40周年。記念すべき最初の作品が、'76年秋公開の『犬神家の一族』です。当時、私は高校1年生。ミステリーが好きだったので公開が楽しみで、先行ロードショーをやっていた日比谷映画に足を運びました。

 角川春樹 第一作ということで、公開には万全を期して臨みました。当時の日比谷映画の新記録となる前売り券5000枚を売り出し、それでも心配で、映画館の周辺でちんどん屋にビラを配らせたんです。映画界でちんどん屋を使ったのは初めてだったと思います。

 浅田英一 当時、日本映画界は下り坂。そんな空気の中、角川書店が参入したことは、現場にとってはとても新鮮でした。

 宣伝ポスターも斬新でした。作品の代名詞である湖から二本の足が突き出ているシーンが大きく使われていましたね。

 角川 あれからしばらくプールで逆さまになって足を突き出すのが、若者や子供たちの間でブームになりました(笑)。

 中川 あの頃プールに行くと、「犬神家禁止」という貼り紙を見かけました。いまの若い人たちには意味がわからないと思うけれど、当時はそれだけで意味が通じたものです。

 浅田 あのシーンはどこで撮影したんだっけな。

 角川 長野県の青木湖ですよ。マネキンの脚に重しをつけて、浮いてこないようにしました。

 中川 あのシーンには、角川さんご自身も刑事役で出演していましたね。

 角川 忘れてください。恥ずかしい思いをしたので、あれだけはいまも絶対に見ないようにしてるんです(笑)。

 中川 もうひとつ『犬神家』の代名詞と言えば、青沼静馬と犬神佐清の二役を演じたあおい輝彦さんが被っていた「スケキヨマスク」です。画面にマスク男が登場するシーンは、不気味さが際立っていました。

 浅田 懐かしいですね。あのマスクには市川崑監督のこだわりがあった。東宝の特殊美術課造型の人が、あおいさんの顔から型を取って作ったんです。市川さんは、最初作ったものでひとまずOKしてくれたんですが、その後「やっぱりもっと柔らかくしてくれ」と要望が出てきた。3度ほど作り直し、とても柔らかいものになりました。

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最終更新:9月18日(日)13時1分

現代ビジネス

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