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本屋の「文教堂」、アニメ・文具で打開できるか

東洋経済オンライン 9月18日(日)5時0分配信

 武蔵溝ノ口駅近くにある文教堂溝ノ口本店。1階から3階までは書籍・雑誌を販売しているが、4階の売り場は雰囲気が違う。文具やホビーグッズが所狭しと並ぶ。品ぞろえは豊富、しかも割安価格とあって、4階の文具売り場に来店する客も多い。

 首都圏を中心に郊外型書店を展開する文教堂の筆頭株主が、大日本印刷から出版取次大手・日本出版販売(日販)に替わる。大日本印刷と丸善ジュンク堂書店が所有する文教堂株の28.12%を10月31日付けで日販が買い取る。

■資本提携で仕入れの変更も

 もともと文教堂は、大手取り次ぎ・トーハンから書籍・雑誌の仕入れを行っている。文教堂が買収した「ブックストア談」や「本の店岩本」から引き継いだ店は日販から仕入れているが、メインはトーハンだ。今回の資本提携で、文教堂の仕入先(帳合い)は日販に変更される可能性が高い。

 書店を取り巻く環境は厳しさを増している。1996年に2兆6564億円だった出版物の販売金額は、2015年には1兆5220億円まで減少。書店に本を卸している日販(単体)の営業利益は、2011年度の34億円から15年度は16・4億円に半減した。

 書店のテコ入れ策として日販が注力しているのが、文具や雑貨などの非「書籍・雑貨」商材の強化だ。書店の中に、文具・雑貨コーナーを設けて、店舗当たりの売上高を底上げする作戦である。

切り札となるのは「アニメガ」店!

 日販は「Sta×2(スタスタ)」という文具売り場パッケージを2012年7月に導入。また、子会社のダルトンで雑貨の取り扱いを行っている。こうした文具・雑貨などの開発商品売り上げは、327億円で日販単体売り上げの約6%にまで成長した(2015年度)。ただし、この数年は成長ペースが鈍化、返品率が上昇していた。

 「その点、文教堂は書店チェーンの中では文具・雑貨に強い。日販は、そこに着目して今回の資本提携に踏み切ったのでは」と業界関係者は指摘する。

 文教堂は、約200ある店舗のうち3割強の店舗で文具の販売を行っている。文教堂社内に文具の開発仕入れを行う部隊を擁する。毎年のように既存店舗の改装を行い、文具取扱店を増やしている。日販から見れば、「Sta×2」の新たな販路としての期待は大きそうだ。

■「アニメガ」でアニメグッズを開発・販売

 文教堂の得意分野がもう1つある。それは「アニメガ」店で販売するアニメグッズだ。「アニメガは、出版社と協力してオリジナルグッズを開発・販売している。若い世代を中心にファンが多く、開店前に数百人の行列ができたこともある」(文教堂ホールディングス・宗像光英常務)。たとえば、昨年はアニメ「刀剣乱舞」関連グッズを発売したところ、入店整理券が必要なほどの盛況ぶりだった。

 文教堂では、アニメを含むグッズの販売を強化するため、本社隣のビルにグッズ開発の専門部隊を設置。自社開発商品の開発を強化している。

 その効果もあり、2016年8月期営業利益は3期ぶりに黒字復帰を果たした模様だ。「既存の書籍・雑誌の販売減を文具やアニメガでどれだけ埋めることができるか。この数年は書籍・雑誌が減るスピードのほうが早かったが、今年になって文具やアニメグッズが収益貢献している」。宗像常務も、非「書籍・雑誌」路線への手応えを感じているところだ。

 そして10月末、日販との資本業務提携。業務提携の内容は、「①文具・雑誌を始めとする複合商品の共同開発、②アニメ関連商品等のオリジナル消費・PB商品の共同開発及び展開」と開示されている。「提携の狙いは、書店業界全体の活性化(日販広報チーム)」。業界活性化のカギは、文具・アニメグッズなど非「書籍・雑誌」分野で、どれだけ魅力的な商品開発ができるかにかかっている。

広瀬 泰之

最終更新:9月18日(日)5時0分

東洋経済オンライン

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