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黒田博樹は怒りさえチームのために。「カープという“原点”に帰って」

Number Web 9月18日(日)18時1分配信

 広島カープが優勝を決めた9月10日の東京ドーム。

 巨人が2-1とリードして迎えた4回表、広島の攻撃。ここでカープは鈴木誠也、松山竜平の連続本塁打で3-2と逆転に成功する。被弾したマイコラスは、その後がいけなかった。次打者の安部友裕に対して、死球を与えてしまった。イラつき、自棄になったように見えなくもなかった。

 そのとき、三塁側ダグアウト横でイニング間のキャッチボールをしていた黒田博樹が、この死球に激怒した。

 マウンド上のマイコラスに対して何やら言葉を投げつけ、両腕を開いて抗議の姿勢を示したのだ。

 このジェスチャー、ほぼ「メジャー流」だった。

 アメリカでの実績は、マイコラスより黒田の方がはるかに上である。メジャーリーグで黒田は79勝あげているのに対し、マイコラスはわずか4勝。

 「格」の違いが、黒田の闘志に表れていた。

チームの士気に影響することには、ヘラヘラしない。

 41歳を迎えてなお、黒田は気持ちの人である。

 昨年、阪神の藤浪晋太郎と投げ合った時、2球続けてインサイドを攻められた黒田は、マウンド上に向かって一歩、二歩と歩みを進め、藤浪に対して怒りを露わにした。

 その時のことを黒田は、「チームの士気に影響することだったので」と前置きして、こう話した。

 「プロですから、自分の体は自分で守らなければならない。もし、あそこで僕がヘラヘラしていたら、それこそチームの士気にかかわります」

 その日のマウンドを任された先発投手には、投球以外にも「出来ること」があるのだという。

カープの若手に影響を与えた黒田のメンタリティ。

 私は、昨季から加入した黒田のメンタリティが、カープの若いメンバーに影響を与えたと思っている。

 今季、セ・リーグを独走した広島。勝因は様々だ。先発では野村祐輔が安定し、打線では上位が固定された上に、中軸の新井貴浩が復活し、鈴木がブレイクスルーした。

 そして目に見えない部分として、集団としての「メンタリティ」が熟してきたと思う。昨季、8年ぶりに日本球界に復帰した黒田は「若い選手は、僕らが若い時より真面目で、本当によく練習しています」と言いつつも、こんなことを話していた。

 「野球に対して真面目であることは大切です。でも、ゲームになると相手と勝負するわけなので、真面目な中にも、気持ちを前に出していくことが必要だと思うんです。気持ちだけでは抑えられないけれど、気持ちがないとダメな部分がありますから」

 マイコラスに対してのジェスチャーは、極端ではある。しかし、マウンドを預かる黒田にとっては、許せないプレーに対しては態度で示す必要があったのだ。

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最終更新:9月18日(日)18時1分

Number Web

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