ここから本文です

リオ五輪閉会式で一躍注目、超絶ピアノジャズ「H ZETTRIO」の魅力

週刊SPA! 9/18(日) 9:10配信

 「H ZETTRIO」というグループをご存じだろうか?

 もし名前は知らないとしても、安倍首相扮するマリオが土管から現れる映像で多くの人の度肝を抜いた、リオ五輪閉会式の東京五輪プレゼン映像でBGMを担当したといえばピンとくるのではなかろうか。

⇒【写真】「H ZETTRIO」

 色違いの鼻が印象的な3人編成のジャズバンド。青鼻のピアノ、H ZETT M(エイチ・ゼット・エム)、銀鼻のドラム、H ZETT KOU(エイチ・ゼット・コウ)、赤鼻のベース、H ZETT NIRE(エイチ・ゼット・ニレ)は、一度見たら忘れられない風貌はもちろんだが、その実力もジャズファンの間では周知の存在。ライブチケットは即完売、海外でも世界最高峰のモントルージャズフェスティバルに招待されるなど、内外で高い評価を得ているのだ。

 ’13年のトリオ結成以来、今までリリースしたシングル16曲がすべてiTunesジャズランキングの1位を獲得する異例のヒットを記録。とりわけリーダーのH ZETT Mのピアノテクニックはまさに超絶。飛び跳ねるように鍵盤を叩く“無重力奏法”は彼の代名詞としてファンの間では語り草となっている。そんなジャズシーンに旋風を巻き起こす中心人物、グループのリーダーであるH ZETT M(以下、M)に話を聞いた。

――道化のようなルックスと型破りなパフォーマンスからは意外ですが、ご自身のキャリアは音楽家として王道ですよね。

M:家にピアノがあったので、何となくそれを触り始めたのが2、3歳くらいのときからです。4歳からヤマハのピアノスクールに通い高校、大学と音楽を専門に学びました。

――専攻は?

M:作曲科でした。ピアノを始めたころから、曲は作り始めていて、小学校、中学校の時点でけっこうな数になっていました。最初は何の知識もなかったので、線に丸を書くような形から始めて、五線譜のここに丸を書くとこういう音が出るってわかってくると、どんどん面白くなって体で覚えていったというか。その後、音楽教室で基礎からクラシックを学んでいました。

――その当時はどんな音楽を聴いていたのですか?

M:中学に上がってからは、クラシックだけじゃなく、それこそTMネットワークからキース・ジャレット(ジャズピアノの大御所)までいろいろ聴いていました。高校に進学するとテクノや打ち込み系、アジッドジャズとか「とりあえず面白そうなものは聴いてみよう」ってスタンス。当時流行っていたジャミロクアイなんかもよく聴いていましたよ。

――高校、大学とクラシックの作曲を専門に学んでいたということですが、当時からジャズバンドをやるつもりだったんですか?

M:特に何も考えてなかった(笑)。ラクに楽しい方に進んでいたというか。不真面目な生徒でした。

――ご自身のプロキャリアの出発点となるジャズバンド「PE’Z」は、大学在学中に結成。ストリートライブから口コミで火がつき、メジャーデビュー。長らくシーンをけん引する存在として人気でした。それが昨年で解散。近年のジャズブームもあり、早すぎる解散だと惜しむ声もあったと思います。

M:PE’Zを始めたときもあんまり深く考えてなかったけど、「ジャズであり、ジャズでない」逸脱したバンドのコンセプトになんとなく未来が見えるかなって。そんな思いで続けてましたが、流れから解散がたまたまこのタイミングになったという感じですね。

――PE’Zで活動中から「H ZETT M」の個人名義で活動するほか、楽曲の提供やメジャーバンドのサポートメンバーに入るなど、活動は多岐に渡ります。そんな活動の一つからスタートしたのが、「H ZETTRIO」でした。結成のきっかけを教えて下さい。

M:H ZETT M名義のソロでやっているときにメイクをして青いハナをつけてというのが始まって、トリオ(3人編成)でやるようになったのがきっかけです。

――メイクの理由は?

M:素の状態ではステージに上がりたくないんです。メイクをすると意識が変わる。テンションが上がって写真の自画取りも恥ずかしがらずにできます(笑)。緊張するってわけじゃないんですけど、メイクすることでスイッチが入ります。

――そしてメイク以上に見る者の度肝を抜くのが、激しいアクションのピアノパフォーマンスだと思います。“無重力奏法”はいつ頃から?

M:PE’Zの頃から立って弾くのは好きだったんですが、それがどんどん過激になって今の(ジャンプしながら弾くような)スタイルになりました。自分で付けたんじゃないんですけど、ピアノを弾いている写真が宇宙遊泳しているように見えて、いつ頃からかそういう風に呼ばれています。

――H ZETTRIOとしてこだわっている部分はどんなところでしょう?

M:楽しさと爆発力ですね。PE’Zの「ジャズであってジャズでない」、既成概念に捕らわれない部分にも通じると思うんですけど、オーソドックスな流れの中で突如起こる異変、それがハマったときの面白さをつきつめていきたいです。狙ってやるというよりはステージのパッとした閃きを大切にしたい。ジャッキー・チェンの酔拳みたい感じで。僕はステージ前に酒は飲まないけど(笑)

――気になっているアーティストっていますか?

M:うーん。あまり周りを気にしないというか。僕はサッカーが好きなんですけど、やっぱり上手い人が好きですね。テクニシャンの10番タイプ。ネイマールとか。南米系の選手ってプレーが独特でトリッキーなプレーをするじゃないですか。自分たちにも通じるところがあるかもしれませんが、瞬発力や閃きのあるものに惹かれます。

――最後にこれから初めてH ZETTRIOを聴く人に向けてメッセージをお願いします。

M:3人が本当に楽しく音楽をやっているので、その空気感を共有してもらえる嬉しいですね。爆発力をつねに意識しているので、それを感じてもらえれば、元気が出てパワーになると思います。もっと変な弾き方をしてみたいし、他人と同じことはしたくないというか、誰もやったことがないことに挑戦したいです。

<取材・文/大澤昭人(本誌)>

●H ZETT M(エイチ・ゼット・エム)

笑って踊れるジャズトリオ「H ZETTRIO」のピアニスト。PE’Zの「ヒイズミマサユ機」、椎名林檎が率いる東京事変の第一期メンバー「H是都M」などの名義でも活躍した超絶技巧が売りのピアノマン(本人は同一人物であることをぼんやり否定)。’07年、1stアルバム『5+2=11』(ゴッタニ)でソロデビュー。「H ZETTRIO」としては、今月、3枚目となるフルアルバム「PIANO CRAZE」をリリースしたばかり。年末にはツアー「PIANO CRAZE Next Next step!」も予定

日刊SPA!

最終更新:9/20(火) 17:59

週刊SPA!

記事提供社からのご案内(外部サイト)

週刊SPA!

扶桑社

2016年12月13日号
12月06日発売

¥390

・[転売で儲ける](秘)メソッド
・[ゲス不倫ブーム]知られざる波紋
・[痛すぎる発言]ランキング
・冬のボーナス[有名企業50社]対決

Yahoo!ニュースからのお知らせ

なぜ今? 首相主導の働き方改革