ここから本文です

2030年には47万人が「死に場所難民」に! 病院でも家でも死ねない人が続出〈dot.〉

dot. 9月20日(火)7時0分配信

「2025年問題」という言葉を知っているだろうか。団塊世代がすべて75歳以上になり、医療・介護の提供体制が追いつかなくなる問題だ。遠い未来のように感じるかもしれないが、2020年の東京五輪から、たった5年後のことなのだ。

 この問題に強い危機感をもった朝日新聞横浜総局は、特別取材班を立ち上げ、2013年11月から神奈川版で「迫る2025ショック」を連載。多くの反響を受け『日本で老いて死ぬということ』(朝日新聞出版)という一冊の本にまとめることとなった。取材班キャップを務めた朝日新聞記者である佐藤陽氏に、2025年問題の重大さについて、改めて寄稿してもらった。

*  *  *
「受け入れるベッドはありません。どこか、ほかの病院を探して下さい」

 ある夜、Aさんは、容体が急変した寝たきりの父親(85)を救急搬送しようと119番通報した。救急隊員がいくつもの病院を当たったが、どこも受け入れてくれなかった。近くの救急病院には、Aさんの父親と同じように、「看取り」をする高齢者たちが長蛇の列を作っていたのだ。

 実はAさんは、自宅で父親を看取ろうと、何人もの「在宅医」に訪問診療をお願いした。自宅で亡くなる場合、かかりつけ医がいないと「不審死」として扱われ、警察に届けないといけないからだ。だが、「今の患者さんで手いっぱい」と、すべて断られていた。最後は、救急車でお願いしようかと思ったが、この結果だった。

 Aさんは思った。「もう病院でも家でも死ねない時代になったのか。道端で死ぬしかないのか……」――。

 これは、現段階では架空のストーリーだが、2025年以降には実際に起きる可能性の高い問題だ。事実、厚生労働省は「2030年には約47万人が、死に場所が見つからない“死に場所難民”になる可能性がある」と警告している。つまり、自宅や病院、介護施設で亡くなることが、難しくなるということだ。

「2025年問題」には、社会保障費のさらなる膨張と、医療・介護の人材不足という大きな2つの問題が横たわる。今は75%の人が病院で亡くなっているが、これだけ高齢者が増えると、病院のベッドだけでは圧倒的に足りなくなる。ならば「自宅で最期を迎えたい」と望んだとしても、今のままでは在宅医や訪問看護師、訪問介護ヘルパーの数は、足りない。

1/2ページ

最終更新:9月20日(火)10時14分

dot.

記事提供社からのご案内(外部サイト)

dot.(ドット)

朝日新聞出版

「AERA」毎週月曜発売
「週刊朝日」毎週火曜発売

「dot.(ドット)」ではAERA、週刊朝日
アサヒカメラの記事や、dot.独自取材の
芸能記事などを読むことができます。さらに
アサヒパソコンのオンライン版もあります!

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

地球外生命を宿しているかもしれない1つの惑星と3つの衛星
地球外にも生命はいるのでしょうか?NASA(アメリカ航空宇宙局)の惑星科学部門の部門長であるジェームズ・グリーンと一緒に、地球外生命を宿していそうな場所を太陽系内の中で探してみましょう。 [new]