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あなたもなれるかも!?「カリスマ」がもつ6つの条件

@DIME 9月19日(月)17時10分配信

 故・田中角栄氏を題材にした関連書籍の出版が後を絶たない。現在の混迷の時代の中、我々の胸のうちには強いリーダーシップで組織を動かす“カリスマ”を待望する気持ちが多少はあるのかもしれない。また、米大統領選では政策論争は二の次と思われる“カリスマ”候補が躍進していることはご存知の通りだ。しかし、人類の過去の歴史を顧みるならば、カリスマ的なリーダーにはじゅうぶんに気をつけなければならないことも確かである。

■カリスマの“ダークサイド”とは

 カリスマ的なリーダーといえば、人々の熱狂的な支持を集めて組織を力強く引っ張っていくヒーローのようなイメージもあるが、歴史上の人物をあげるまでもなく、カリスマ指導者には組織を破滅に導く例もあり、その支持が強いほど警戒が必要な対象でもある。心理学者でリーダーシップ講師のジョイス・ラッセル氏は「Washington Post」紙に寄稿した記事において、今この時代であるからこそカリスマの登場に注意を払わなければならないとして、カリスマ支配における“ダークサイド”を解説している。

 宗教的指導者にも多くみられる“カリスマ”だが、多くの問題をはらんでいるのが宗教などのバックボーンをもたない“非倫理的カリスマ”であるという。なぜならその支配の動機が往々にしてきわめて個人的なものであるからである。もちろん周囲には強力なメッセージを発信するのだが、突き詰めてみればそれは自身の個人的野望に端を発するものなのである。

 非倫理的カリスマ指導者は組織内の多様な意見の存在を許さず、コミュニケーションは一方通行でトップダウン型になる。またもし批判に晒された場合は、それは組織に対する攻撃であるとして、支持者を代表して潰しにかかるという。つまり支配の目的が組織全体の利益のためではないため、非倫理的カリスマ指導者はリーダーシップを維持するために必要のないリスクをとって支持者を鼓舞し、その一方でそれがもとで発生した問題や失敗を認めることはないという。

 もちろんこの非倫理的カリスマ指導者もまた一部の熱狂的な支持者に支えられているわけであり、指導者と支持者のどちらにも非があるのは明らかだ。このような支配がもし企業組織で起っていた場合、長期的にその企業ではやがて職場のモラルが低下し、離職者が増えはじめ、業績が乏しくなっていくのは目に見えているということだ。

 このような組織はさっさと離れるに越したことはないのだが、この非倫理的カリスマ支配を正すにはやはりボトムアップ型の組織に改革していくしかないようである。とはいってもどんな“カリスマ”であれ、その魅力と人を束ねる力は決して侮ることはできす、改革は念入りかつ慎重に行なわなければならない。それほどまでに強いリーダーシップを備えるカリスマたちだが、熱烈な指示を集める秘密はどこにあるのだろうか。

■カリスマ性の正体

 カリスマはどのようにして出現してくるのか? これまではミステリアスな存在として認識されてきた時代のカリスマたちだが、その魅力とリーダーシップのメカニズムが徐々に解明されてきている。カリスマは決して神秘的な力を授けられた存在ではないという。

 今年3月に発表された研究によれば、カリスマが持つ最も特徴的な指導力は組織の異なるグループの意見を束ねて協力関係に持ち込む力にあるということだ。そこで発揮されるカリスマの特性が“寛大さ”や“気前の良さ”、あるいは清濁併せ呑む“懐の広さ”である。カリスマ自身も懐の広い人物であるが、カリスマと接した人物もまた感化されて気前の良い性質を帯びてくるという。こうした気持ちを抱かせることにより、グループ間に細かい意見の相違はあるにせよ共に大きな目的に向けて協力しあえる条件が整えられるというわけだ。

 また2015年の研究では、カリスマ性を備えたトップリーダーは、最高経営責任者として留任か退陣かの評価が微妙なケースでもそのポジションを維持できる傾向があることがわかっている。つまり同じような能力であればカリスマ性が評価の大きなファクターとなるのだ。そして2013年の研究では、鋭い洞察力や構想力など内面的な能力によって成功を収めた経営者のほうが、キャリアを積んで成功した経営者よりもよりカリスマ性を感じさせる人物になるということだ。

 何かとお得な(!?)カリスマ性だが、それは生まれ持った天賦の才というわけでもないようだ。カリスマ性の分かりやすい特徴に魅力的な外見が挙げられるが、確かに見た目の魅力と背の高さはカリスマ性の重要な要素になっているという。しかしもちろんそれだけではない。

 2015年に豪・クイーンズランド大学の研究チームが発表した論文によれば、素早い返答能力と思考の回転の速さがカリスマ性のカギとなる能力であるということだ。この素早い返答能力と思考の回転の速さは、IQの高さやパーソナリティー特性とは直接関係がないという。つまりカリスマは必ずしも知能が高いわけではないということになる。

 実験では参加者に30問の難しくない些細なクイズを出題していかに早く回答できるかを計測したり、パソコン画面上に現れた点や図形をできるかぎり早く判別する実験を行ない、一方でそれぞれの参加者の“カリスマ度”をその友人たちに評価してもらったのだ。すると、カリスマ度が高いと評価された人物ほど、クイズに素早く回答し、図形などを判別するスピードが速い傾向が浮き彫りになったのだ。

 人に好印象を与える“決断の速さ”だが、もちろんその判断の正しさとは無関係である。しかしもし迂闊に間違えてしまった場合でも、その訂正もまたスピーディーに行なえるという利点もある。人々の理解がじゅうぶんに及ぶよりも先に言動を修正し謝罪することができるのも、大きなアドバンテージとなるのだ。

 ということはカリスマ性は臨機応変なスピーチ能力と大きな関係があるということになる。政策論争や法廷闘争のような専門的なディベート能力というよりも、問いかけに即座に答えて効果的に人の心を掴む能力がカリスマ性の正体だと言えそうだ。

■カリスマの6つの特性

“カリスマ”は決して神秘的な存在ではないということは、誰でも心がけ次第でカリスマ性を身に着けることができるということだ。「Psychology Today」の記事によれば、カリスマには6つの特性があり、それをよく理解してものにすることで、自身のカリスマ性を向上させることができるという。

●高い共感能力
 相手のものの見方を理解し、現在どのような感情に襲われているのかを汲み取るという高い共感能力がカリスマの特性のひとつだ。そのためには、目の前の相手にじゅうぶん注意を払わなくてはならず、その行為を通じて相手から好感を得られる。

●話をよく聞く能力
 相手が何を訴えようとしているのか、話の内容はもちろん、言外に伝えようとしているニュアンスまで把握できる能力が高いこともカリスマの特性だ。社交的な会話において、自分の話したいことだけを話そうとしている人はやがて飽きられる。相手の話をよく聞き適切な質問や返答を繰り出せる能力を高めたいものだ。

●アイコンタクト能力
 人を結びつける最も強力な手段のひとつがアイコンタクトだ。神経科学的にも証明されていて、アイコンタクトの瞬間は2人の人物の脳の同じ部分が活性化されている。最初にアイコンタクトでコミュケーションがとれれば、その後の会話がきわめて実りの多いものになることは言うまでもない。

●相手の気持ちを高揚させる能力
 何かしら褒めたり、共通の話題で盛り上げたりして相手の気分を高揚させる能力もまたカリスマが持つ特性である。社交辞令で話を合わせている場合と、本当に気持ちが高揚している場合の違いはすぐにわかる。相手の気持ちを高揚させることができれば、結びつきはより確かなものになる。

●自信に満ちたふるまい
 自信に満ちたふるまいは決して独断的、独善的な行動から生まれるものではなく、目の前にいる人々のことを何よりもまず最優先に考えて行動することで醸し出されてくるものである。この自然で本物の“自信”が備わっていることもカリスマの特性である。

●巧みなスピーチ能力
 カリスマ性は臨機応変なスピーチ能力と大きな関係があることは前にも述べた通りだが、これはやはりある程度の訓練が必要になってくるだろう。この能力の本質も目の前の人々が今何を感じているのかを把握する共感能力がベースになっている。聴衆が何を思っているのかが理解できれば、自ずから内容も話し方も効果的に伝わるものになるのだ。

 その能力のメカニズムが次第に明らかになっている“カリスマ”だが、先に紹介した「非倫理的カリスマ」の悪影響を受けないためには、自ら意識的にカリスマ性を身に着けることは今の時代の効果的な自己防衛になるかもしれない。

文/仲田しんじ

@DIME編集部

最終更新:9月19日(月)17時10分

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