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武士がハンバーガーを食べるなら「月の輪」を作らない

女性自身 9/19(月) 6:10配信

 武士ならどうする? 700年前より脈々と引き継がれてきた小笠原流礼法について、『武家の躾 子どもの礼儀作法』(光文社新書)を上梓したばかりの小笠原敬承斎氏が指南する。

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 私は小笠原流礼法宗家として、代々守ってきた作法を現代に伝えている。そして、ひと昔前は当たり前だった日本人としての礼儀が、しだいに失われてきているのを感じている。

 小笠原流礼法は、約700年前の室町時代、足利尊氏の家臣であった小笠原貞宗が確立した、武士の礼法である。

 封建制度下の室町期に生きた武士は、相手や状況に応じて振る舞うことが望ましいとされていた。相手との心理的な距離感、振る舞い方、行動のすべてに「程」、すなわち「程度」を知ることが重要なのだ。

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 たとえばファストフード店でハンバーガーを食べるときには、作法など必要ないと思われるかもしれない。

 もちろん、ファストフードをかしこまって食べるのは不自然なことだが、他者に不快感を与えないためにひとつだけ、おすすめしたい心得がある。

 それは、「月の輪」をつくらないこと。

 伝書には、

《一口に喰えば喰跡(くいあと) 月の輪の如くに見え 見苦しく候》

 と記されている。
 ここでいう「月の輪」とは、一口かじったときに歯形がついて、月の輪のようなかたちになることを指す。いくらカジュアルな席でも、月の輪は目に立ち、配慮に欠ける。

 そこで、一口食べたら、左端と右端を続けて食べる。すると、月の輪の歯形はなくなる。つまり、食事に関する作法も、すべて「目に立たない」ことが基本なのだ。

 幼い子どもも、この食べ方を教えると、楽しんで実践してくれる。

 己を消し、目に立たないようにとのこころ遣いから、美しい所作が生まれ、それによって周囲との和が育まれる。こうしたこころの動きを身につけることができると、あらゆる場面において、慎みのある行動をとることが可能となる。


<著者プロフィール> 
 小笠原敬承斎(おがさわらけいしょうさい)

 東京都生まれ。聖心女子学院卒業後、イギリスに留学。副宗家を経て、1996年に小笠原流礼法宗家に就任。700年の伝統を誇る小笠原流礼法初の女性宗家となり注目を集める。著書に『誰も教えてくれない 男の礼儀作法』『男の一日一作法』(以上、光文社新書)、『見てまなぶ 日本人のふるまい』(淡交社)、『美しい日本語の作法』(小学館)、『伯爵家のしきたり』(幻冬舎)、『イラストでわかる礼儀作法基本テキスト』(日本能率協会マネジメントセンター)など多数。

最終更新:9/19(月) 6:10

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