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「堺から世界へ」。タイのコンビニに大阪生まれのイカのつまみが置いてある理由

HARBOR BUSINESS Online 9/19(月) 16:20配信

 佃煮などの商店から始まった家族経営の店が、1947年の開業から来年で70周年となる今、世界に販路を広げようとタイで工場の建設を進めている。

⇒【画像】マルエスの人気商品「いか大王」

イカなどを独自の技術で加工したおつまみを全国展開している「マルエス」だ。すでに台湾や香港、米国などには日本製を輸出している中、日本人に人気の海外旅行渡航先であるタイに昨年2月、同社初の海外拠点として支社を立ち上げた。そして、タイ東部の漁村に工場の建設に着手し、2017年5月に完成する予定である。

 タイに支社があるものの陣頭指揮を執るのは本社社長である田中稔朗氏である。3代目になる氏は38歳の若手経営者ながら、先代の商才を引き継ぎ、さらに大きな飛躍を成し遂げるため、日本を飛び出すことになった。

「支社を設立したのは最近ですが、市場調査なども含めて数年前からタイには来ておりました。今年6月からタイのCPグループと組み、バンコクのセブンイレブン2000店舗に商品を6種類納入し始めています」

◆タイ最大のコングロマリットと提携

 CPグループはタイ最大とも言われるコングロマリットで、食品関連の事業を中核としている。タイのセブンイレブンもこのCPグループの経営で、タイ全土に9252店舗ある(参照:セブン-イレブン・ジャパン)。マルエスがまずバンコクの2000店舗で始めることになったのはセブンイレブン・タイ側の事情もあった。

「タイのセブンイレブンも日本同様に商品選定方法が厳格です。全部で15アイテムは持って行ったのですが、最終的に残ったのが6種類。ただ、高圧的なミーティングではなく、こちらの話も聞いてくれましたから雰囲気はよかったです。工場ができたら全店に入れてもらえる約束にはなっていますが、現状の輸入品は高速道路を含めたバンコク近郊までの2000店舗が限界みたいです」

 現在は日本に2箇所ある工場で作ったものをタイに入れているが、どうしても経費がかかる。そのため、小さなパッケージではあっても価格設定が50バーツ(約155円)前後になってしまう。タイでは日系製菓メーカーが日本でも馴染みある商品を15バーツ(約46円)程度から販売している。それと比較するとマルエスの製品は高額という印象を受けてしまう。タイはバンコクとそれ以外の地域の収入差が大きく、購買層がバンコク郊外や他県になると極端に薄くなることもある。そのため、タイ国内工場ができるまでの間は、セブンイレブン側でも2000店舗が限界だと考えているというわけだ。

「日本からの輸入製品は今はテスト段階と考えています。今はCPで50バーツですが、今後20%30%下げて売ってみるなど、工場が稼働したあとに設定するタイ産価格の感触を試していきます」

◆狙うは「堺から世界へ」

 田中社長もセブンイレブンに納入が始まったことで満足しているわけではない。さらに多数の企業と販売契約を進めている。例えば、タイのデパート・チェーンで最大のセントラル・グループ、タイの中流層に人気のあるデパートであるザ・モール、バンコクを中心に輸入食品などを販売する24時間営業のスーパーチェーンのフードランドやヴィラ・マーケット、日本人駐在員御用達のフジスーパーなどは納入が決まっている。最近、店舗数を増やしている100円ショップ(タイでは60バーツ(約180円)均一)のダイソーでも販売が開始されているし、日本から進出したドラッグストアのツルハやファミリーマートにも営業をかけている。このようにメジャーなところはしっかりと押さえており、工場が稼働した際の出荷先は十分に確保できているような状態になった。その上でタイ工場の強みを田中社長が明かす。

「普通は問屋を通すものですが、弊社タイと各取引先は直取引になっています。工場ができたらスムーズに取り引き拡大をしてもらえる状態になるのです。生産量が増えればベトナム、ラオス、カンボジアは行かないといけませんし、ロシアやアメリカ、ヨーロッパにもタイから送っていきたいです」

 マルエスのスローガン「堺から世界へ」はタイ工場の稼動で一気にリアルへと近づく。

 次回は、マルエスが海外進出の拠点をタイに決めた理由に迫る。

]<取材・文/高田胤臣(Twitter ID:@NaturalNENEAM) 取材協力/マルエス>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:9/19(月) 16:20

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