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巷は賞賛一色でも専門家たちの違和感 天皇陛下「お言葉」は「違憲か暴走」と断じる皇室記者の失望

デイリー新潮 9/19(月) 5:51配信

 8月8日に公表された天皇陛下の「お言葉」は“平成の人間宣言”などと称えられている。近代以降、前例のない生前退位へのお気持ちを示された約10分間の談話は、国民の心を強く揺さぶった。が、長らく皇室を見続けてきた専門家たちは、違和感が拭えないというのだ。

 ***

 さる5日には、陛下のお気持ちに応えるべく政府が特別措置法を制定し、皇室典範の付則に明記する形で検討に入ったと報じられた。

 あらためて「お言葉」を振り返ってみると、

〈次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています〉

 傘寿を超えた陛下がそう吐露されたことで、例えば読売新聞の世論調査では「お気持ちの表明」について「良かった」が93%。朝日新聞や共同通信のそれでも「生前退位」について、実に80%以上の人が「できるようにした方が良い」と回答していたのだった。

 が、その一方、陛下をはじめ皇族方の動静を日々、専門に取材している「宮内記者会」においては、論調は大いに様相を異にしていた。

「あのような『お言葉』を陛下が発せられたことに、失望を禁じ得ませんでした」

 とは、大手紙の皇室担当記者である。

「テレビの街頭インタビューも『長い間お務めを果たされた』『ゆっくり休んでほしい』といった賞賛の声に満ちていましたが、そうしたレベルの話ではない。あのお気持ちの表明によって、陛下が皇后さまとともに28年間、ひたすら慎ましやかに積み重ねてこられた“あるべき象徴としてのお振舞い”が台無しになってしまった。端的に言えば禁じ手、『やってはいけないことをなさってしまった』ということ。記者会の内部はもちろん、OBや本社デスクなど、長らく皇室取材に携わってきた者ほど、こうした思いを強くしているのが現状です」

 というのだ。

 陛下がお気持ちを示されれば、多少なりとも政治性を帯び、すなわち憲法に抵触する虞(おそれ)が――。そんな懸念は、お言葉の公表前から存在した。もっとも、宮内庁担当OB記者によれば、

「これまでも陛下が強いご意向をお持ちになり、行動へと移されたことはありました。2011年に表面化した『女性宮家構想』など、まさしく陛下の思し召しに他なりません。また07年にはバルト3国を訪問されましたが、この時は生物学者のカール・フォン・リンネ生誕300年を記念して母国のスウェーデンにも赴かれている。陛下はリンネ協会の名誉会員で、かねてより強いご関心を寄せてこられた。いわば“ご趣味”も踏まえた外遊であったといえます」

 さらには一連の“慰霊の旅”である。

「戦後50年の節目に始まり、05年のサイパンや昨年のパラオ、そして今年のフィリピンまで。すべてご自身のお考えから実践されたのは言うまでもありません」(同)

 むろん、それらの際には、

「徹底して水面下で調整がなされてきました。万が一にも陛下の『これがしたい』とのご意向が露わになれば、憲法上の問題へと発展しかねないので、周囲が十重二十重に忖度する形をとって実現をみてきた。そもそも、それが皇室の美徳であったはずです」(同)

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最終更新:9/19(月) 5:51

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