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しんぶん赤旗 規制緩和批判→新自由主義批判→安倍批判に

NEWS ポストセブン 9月20日(火)7時0分配信

 党機関紙であり、すべての記事が共産党の意向を反映している「しんぶん赤旗」にも、“社説”欄がある。同欄のタイトルは、ずばり『主張』。その言説を、評論家の古谷経衡氏が分析する。古谷氏は赤旗の文体について“「です・ます」で統一され、重要なオピニオンの部分は「~ではないでしょうか」で締めるのが恒例だが、時折顔を出すこういった単語が珍妙でアンバランスな読後感を与えてくれる”と分析した。

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 2016年1月24日の「主張」。長野県軽井沢で起こったスキーバスツアー事故(死者15名)を安倍政権による「規制緩和路線」に絡めて批判するものだ。

 規制緩和による自由競争により、安全や人命がおざなりになる、というのは共産党のみならず反安倍界隈や反グローバルを標榜する国家社会主義者からも盛んに聞こえてくる「常套句」である。

 赤旗はこの日の「主張」をこう結んでいる。「悲惨な事故を繰り返さないため『規制緩和』を根本から見直すことが必要です」。なにか事故が起こると、資本主義の弊害、自由競争の行き過ぎを嘆く文脈の中に、必ずと言ってよいほど登場するフレーズだ。

 事故の被害者の無念と遺族の悲嘆は想像するに余りある。しかし、資本主義が行き過ぎると人命が損なわれる、という古典的な方程式は本当に正しいのか。赤旗は、共産主義体制末期で起こったチェルノブイリ事故の悲劇を忘れたわけではあるまい。

 閉鎖的で、外部と競争がなく、国家から庇護されている組織は、必ず堕落する。中国の国営企業が、巨大な腐敗と不採算企業であることが如実にそれを物語っている。ソ連型共産主義は本来の共産主義ではない、と抗弁したところで理屈にはならぬ。

 1985年に起きた惨い日航機事故も、JALの半国営企業的閉鎖体質が事故の遠因だ。2011年の福島第一原発事故。半国営企業的な東電の閉鎖体制が招いた人災ではないのか。

 競争や資本主義は人の命を奪う、などと言っているが、よほど計画経済のほうが人命を奪い、環境を穢している。ソ連時代の無理筋な灌漑のせいで、アラル海は消滅してしまった。人類史上最悪の環境破壊は常に共産国で起っている。学校でのいじめや自殺問題もまた然り。競争と監視のない空間こそ最も危険なのだ。

 すわ人命を盾に規制緩和批判→新自由主義批判→安倍批判に持っていこうとする赤旗も、党外部からの監視を受け他紙と競争すれば、もう少し妥当な感じの紙面になるのではないでしょうか。

●ふるやつねひら/1982年北海道生まれ。立命館大学文学部卒業。主な著書に『愛国ってなんだ 民族・郷土・戦争』『左翼も右翼もウソばかり』。近著に『ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか』。

※SAPIO2016年10月号

最終更新:9月20日(火)7時0分

NEWS ポストセブン